多文化共創フォーラム『中東・ウクライナ危機の最新情報〜NATOの憂鬱』振り返りニューズレター

<多文化トーク『中東・ウクライナ危機の最新情報〜NATOの憂鬱』>(日時:7月3日(木)18:00~20:00 / 場所:東京ボランティア市民活動センターB会議室(飯田橋・ラムラ10階)が、急遽の変更などありながらも無事行われました。

今回はフォーラム形式ではなく、参加する方々が自由にテーマに関して話し合うという形での会となりました。

なお、今回は、参加者の一人荒井が感想を述べております。自分の関心は、モンゴルを中心としたユーラシア世界の社会史で、言語を切り口にいろいろなことを調べております。

川村千鶴子先生を皮切りに、サイトを見て初めて参加して下さった方、長谷川礼先生、そして、何より多文化研メディア班増田隆一さんが海外にいるお友達から集めた貴重な中東・ウクライナ危機に関する情報をお聞きすることができました。

川村千鶴子先生が実際その目で見て体験されたソ連時代のお話しは貴重なものでした。また、現在、日本各地にはロシア人やウクライナ人、そしてその周りにその関係者がおり、それが共存している状態です。これらの方々が口々にするのは、ロシア・ウクライナの両方にアイデンティティを感じるという人が多くいることだったという情報も川村先生が提供してくださいました。
今回初めて参加された方は、ロシア・西シベリアの主要な都市で長く働いていた経験からのロシアに対する視点を提供くださりました。

かくいう私は、モンゴル系のブリヤート人やカルムイク人といった少数民族が、場合によってはモスクワ、サンクトペテルブルグの60倍(トークの方ではこの数字は出しませんでした)もの死者を出していて、プーチンになってからひどい少数民族いじめというか差別が存在する現状などが提供できたかと思います。

とまれ、印象に残ったのは増田さんの各地に散らばるメディアに携わるお友達からの情報です。
アメリカ軍のイランに対する攻撃の成果と評価は非常に興味深く。今回、「爆縮」という核爆弾を最大の効果で爆発させる仕組みの増田さんの解説とともに、その実験が北朝鮮などでは3回成功し、その場所が特定されているのに、イランでは実験が行われたのだろうけど場所が特定できていない事実は、なんとなく知ったかぶりして僕がこういうことかと語ってみたところ、見事に外れた恥ずかしさとともに非常に勉強になりました。
あとは、本国とヨーロッパのNATOに対する見解の間に立つEUにいるアメリカの武官の悩ましい板挟み状態とかの情報も非常に貴重でした。そのほか、トランプやアメリカ政府に関する認識を様々な方から様々な角度で提供された情報は、それぞれを組み合わせると立体的に見えるものになりました。まさに、実際に携わっている人に食らいついて聞いてくださったらこうみえるんだなというものでした。

なお、感想としていうならば、ロシア・ウクライナ間にはソ連時代にあったような融和的な関係はもうないのだろうなと思っています。ウクライナのウクインフォルムなる通信社で働く平野高志氏のtwitter(当時)でも戦争が始まろうとしている時、そして始まった後、多くの人が自分が得意なはずのロシア語でつぶやくのをやめ、下手でもウクライナ語でつぶやくということを宣言したりします。また、NHKでディレクターを務めるノヴゥツカ・カテリーナさんのセルフ・ドキュメンタリー『ウクライナ語で叫びたい』(https://www.nhk.jp/p/ts/YN5YRJ9KP6/episode/te/J72L9WPRMJ/)でも、「ロシア語話者をウクライナのナチ」から守るといいながら、ロシア語話者自身を次々と殺している現状から、同様の決断に至る人々が多くいることからも見えるからです。映像も強烈ですが、ネットで拾える感想からも大体のことが分かると思います。

ユーゴ内戦といわれた状態から多くの民族がそれぞれ独立し、「敵同士」なので、別の言語という認識を強く持っていましたが、終結後20年ほどの時間がたつと、同じ言語という認識に戻りたいと主張する人がちらほら表れています。今後どういう方向に向かうかわかりませんが、ウクライナとロシアの言語における先鋭化を見るその先例としても注目していこうかと思っています。

荒井幸康・多文化研理事・「多読味読」担当

緊急!ニューズレター:7月3日(木)の『多文化共創フォーラム』内容変更

会員のみなさま

緊急のニューズレターです!

7月3日に予定しておりました<多文化共創フォーラム『移動すべきか留まるべきか:トルコの難民政策・支援と難民の状況』>は、関係者のご家族に重大な支障が発生したため、急遽「多文化トーク:中東・ウクライナ危機の最新情報〜NATOの憂鬱」に内容を変更致します。

『移動すべきか留まるべきか:トルコの難民政策・支援と難民の状況』につきましては、日を改めて開催致します。
ニューズレターで、開催日や場所について、改めてのお知らせを致しますので、しばらく猶予を頂戴したく存じます。

<多文化トーク『中東・ウクライナ危機の最新情報〜NATOの憂鬱』>
日時:7月3日(木)18:00~20:00
場所:東京ボランティア市民活動センターB会議室(飯田橋・ラムラ10階)

みなさまのご参加をお待ち申し上げます。

なお、6月29日(日)の多文化共創フォーラム『AIと多文化共創』は、予定通り開催致します。

多文化研メディア班
増田隆一 拝

ニューズレター:多文化共創フォーラム『AIと多文化共創』開催のお知らせ

多文化共創フォーラム『AIと多文化共創』/ Announcement of the 29th June’s Research Meetings (Society for Multicultural Community Studies), “AI and Multicultural Synergy”

多文化研会員のみなさま

6月で2度目となる「多文化共創フォーラム」のお知らせです。
6月29日の多文化共創フォーラム『AIと多文化共創』では、主に出版や言論・放送メディアでの「AIの可能性と危険性」について、AIをめぐる現状の解説と、討議を行いたいと考えています。

Dear Members of the Society for Multicultural Community Studies,

We are planning for the Multicultural Forum of the following Theme on the 29th June, which will be the second time we meet in this month.
“AI and Multicultural Synergy”

On this Forum “AI and Multicultural Synergy”, we introduce the experts of Publishing and Media Communications and explain about “What is AI?” and
“What should we do about the usage of AI?” and its security crisis.
Please join our discussions.

日時:6月29日(日)14:00~17:00
場所:飯田橋・東京ボランティア市民活動センター・B会議室(ラムラ10階)
参加費:会員/学部生以下は無料、非会員(学部生以下を除
く)は500円

Date: 29th June, 14:00~17:00
Venue: Tokyo Volunteer Civil Activity Center, “Ramla IIDABASHI” 10th floor, Meeting Room B.
Addressing Fee: Members and Students are FREE, Non-members 500yen.

プログラム:
講師に元(財)日本出版クラブ専務理事の大橋祥宏さんをお招きし、基調講演「AIの時代の出版業界と編集」をお願いします。
大橋さんは、これまで数多くの書籍出版に関わられた出版界の重鎮で、情報発信におけるさまざまな要件について、深い知見をお持ちです。
講演のあと、会場全体での問題点の討議や、この分野についての意見の交換をします。
また、情報メディアのリテラシーとして重要な「AIのウソとホント」について、多文化研メディア班の増田隆一副理事長が、問題提起とディスカッションをモデレートする予定です。

Program:
Speaker: Mr.Yoshihiro OH-HASHI, Ex-Senior Officer of Japan Publisher’s Club. Mr. OH-HASHI is an expert in the publishing business who has concerned with a huge amount of publications through his almost 40 years career. His deep knowledge and wide experiences provides an interesting viewpoint for various problems on AI.
We shall have some discussions after listening to his lecture.
Vice-Director of SMCS, Ritchie MASUDA shall pick up the important points of this category, and moderate the discussions of the Forum.

添付ファイルは、Adobeの生成AI”Express”に、フォーラムの要素を打ち込んでポスター作成をさせた「ちらし」です。
この能力と、我々はどのようにつきあえば良いのか、話し合いましょう。

The attached file is the output image of “This Forum’s structure”, produced by AI = “AdobeExpress”.
Let’s talk about “How we should go about with this incredible “Intellectual Power”.

多文化研メディア班
増田隆一

Ritchie MASUDA
Media Researching Team, SMCS.

ニューズレター:多文化共創フォーラム「イタリアの選択について考える」振り返り

多文化社会研究会

会員のみなさま

6月5日、飯田橋・東京ボランティアセンター(通称:ぼらせん)におきまして、多文化共創フォーラム『イタリアの選択について考える〜ベネチアにおける移民の現状を踏まえて』を開催致しました。

直前まで、『ドイツに学ぶ「サステナビリティ」と移民』というテーマで、ドイツ学術交流会のマルクス・ヘッケル氏を講師にお招きし、長谷川理事のイタリア報告と併列する予定だったのですが、ヘッケル氏の急病のために講演が叶わなくなり、急遽テーマを長谷川礼理事(大東文化大経営学部教授)のイタリア視察報告のみに変更しました。

“ぼらせん”には、初参加の方2名も含め、11名の参加者が集まり、18時から2時間あまりの報告と討議を行なって、最後には白熱した議論が交わされました。

フォーラムは、川村千鶴子理事長の開会の挨拶から始まり、伊藤寛了理事(帝京大学准教授)の司会で進みました。
報告者は長谷川礼理事で、このテーマのフィールドワークとして5週間ベネチアに滞在し、ベネチア国際大学などの研究者とともに、移民とベネチアとの関わりについて、インタビューを含むさまざまな調査を行っています。

講演中の長谷川礼理事(大東文化大学経営学部教授)

報告では、OECDがリリースした移民と社会に関係する統計など、ヨーロッパ諸国の移民政策に関係する動向・傾向が解説されました。
イタリアはアドリア海をはさんで、バルカン半島に面しており、古くからスラブ民族の流入があって(すでに多くの定着者がいます。インテルミラノのレギュラーは半数がスラブ名の選手です)、ごく最近まで中東からの移民の割合は高くなかったそうですが、長谷川理事の報告では、3年ほど前からバングラデシュからの流入者が急増している事実が、具体的な数字で示されました。

ベネチアでは既に、階層が分かれたバングラデシュ移民が、それぞれ地域を棲み分けている現状が伺え、観光地としてのベネチアで、盛んに商取引を行なっている様子が、長谷川理事が直接撮影した映像で示されました。

また、5週間というスパンの長いフィールドワークだったことで、移民が実際に現場で働いている様子や、移民には参画が許されていない行政分野(郵便配達や廃棄物収集・処理など)があることも、インタビューだけでなく具体的に観察され、写真と共に報告されました。

トルコ研究の専門家で、ヨーロッパの移民・難民政策の領域にも深い知見を持つ伊藤寛了理事からは、「移民の中にも正規の滞在許可を取得した人と、行政から滞在申請を拒否された人がいるはずで、見かけは変わらず普通に生活し、混在している。その区別は外観からだけでは、つきにくい。それらの実際の割合を調べることで、イタリア政府の移民政策と現状をあぶり出すことができるのでは」という提案が出されました。

この研究領域は、いまも”生きもの”のように、世界各国で(もちろん日本でも)変化し続けています。
ヘッケル氏の再招聘も含めて、引き続き多文化共創フォーラムの場で、テーマとして話し合いを持ちましょう、と言葉を交わして閉会しました。

次回の多文化共創フォーラムは、6月29日(日)14:00~17:00の予定で、「AIと多文化共創」をテーマに、今回と同じ会場『飯田橋・東京ボランティアセンター』にて開催されます。
講師には、大橋祥宏氏(元財団法人・日本出版クラブ専務理事)をお招きします。

多文化研メディア班

増田隆一 拝

ニューズレター:研究会のお知らせ

各位

以下の通り、ドイツ人研究者ヘッケル氏をお招きし、「第192回 多文化共創フォーラム」を開催いたします。ご多用の折とは存じますが、是非、お誘い合わせの上ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。

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第192回 多文化共創フォーラム
ー「ドイツに学ぶ「サステナビリティ」と「移民」ー

SDSN(Sustainable Development Solutions Network)のSDGs Index世界ランキングでは、2024年、ドイツは世界4位、日本は18位です。SDGsの17の目標には、目標3「全ての人に健康と福祉を」、目標10「人や国の不平等を無くそう」が掲げられています。

講演1では、日本は、サステナビリティ先進国ドイツから何を学ぶことができるのか、ドイツ人研究者ヘッケル氏が調査したドイツと日本における多数の事例を通して持続可能な日本の将来を考えます。

講演2では、さまざまなデータから、近年のドイツ・イタリア・日本の移民の状況を可視化し、3カ国の共通点や相違点を探り、今後の日本の移民受け入れについて検討します。

日時: 2025年6月5日(木)18時〜20時
会場: 東京ボランティアセンター C 会議室 飯田橋ラムラ 10 階(JR 飯田橋駅から徒歩 1 分)

司会:   伊藤寛了(帝京大学経済学部専任講師)
開会挨拶: 長谷川礼(大東文化大学経営学部教授)

講演1:「サステナビリティ先進国ドイツに学ぶライフスタイルとウェルビーイング」
 講師:ヘッケル・マルクス(発表言語:日本語)
    ドイツ学術交流会(DAAD)東京事務所, 所長代理、フランクフルト大学特任准教授等、歴任

講演2:「数字で比較するドイツ・イタリア・日本の移民」
 講師:ヘッケル・マルクス、長谷川礼

閉会挨拶: 川村千鶴子(大東文化大学名誉教授)

【参加費】 会員・学部生以下は無料; 非会員(学部生以下を除く)は 500 円

ニューズレター:第191回多文化共創フォーラムのお知らせ(4月13日)

各位

新年度が始まりましたがいかがお過ごしでしょうか。

多文化社会研究会では4月13日に研究会:第191回多文化共創フォーラムを予定しております。
今回は不動産会社に勤務されている大野勝也さんを講師に、外国人入居を取り巻く諸課題についてお話しいただきます。
ぜひお誘いあわせの上ご参加ください。

渡辺幸倫

[English Translation follows]

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日本に限らず生活していく上では住居の確保は必要不可欠となります。我が国では、住居の確保でとりわけ民間賃貸が住宅供給の多くを担っています。これらを担う供給主体の多くは個人規模の零細家主により住宅が供給されています。他方で、人口減少社会を迎えている我が国では、住宅ストック問題が顕在化しており、それらを埋める層として外国人へのニーズが増加しています。これに伴い家主が外国人に部屋を貸さないケースが生じています。これらの問題について実務現場と研究結果を踏まえて報告いたします。

【報告タイトル】

民間賃貸住宅における零細家主による住宅供給プロセスと課題〜外国人入居を取り巻く諸課題 その1

【講演内容】

・零細家主による住宅供給の歴史
・零細家主の実態
・不動産賃貸経営・運営のリアル
・外国人入居者を取り巻く現状

講演者紹介

大野 勝也

AFP(日本FP協会認定)。ファイナンシャル・プランナー。不動産会社勤務。日本大学大学院文学研究科社会学専攻博士前期課程修了。修士 (社会学)。専門は社会学、都市社会学、住宅問題、ハウジング論。

【講演スケジュール】

9:05 開会挨拶(多文化社会研究会理事長 川村千鶴子) 
9:15~ 10:00研究報告 大野 勝也 
10:10~ 質疑応答、討論会(司会:増田隆一(多文化社会研究会副理事長)) 
10:50〜 閉会挨拶(大東文化大学教授 長谷川礼)

【日時】

2025年4月13日(日)9:00~11:00

【場所】

東京ボランティアセンター(飯田橋ラムラ10階A会議室)

【会費】

会員無料 非会員500円
※参加者には多文化社会研究会35周年記念誌の配布があります。

[Translation]

Dear all,

We hope this message finds you well as the new academic year begins.

The Society for Multicultural Community Studies is pleased to announce our upcoming research meeting on April 13, with a focus on the theme of housing and real estate. For this session, we will welcome Mr. Katsuya Ohno, who works at a real estate company, as our speaker. He will speak on various issues surrounding the housing of foreign residents in Japan.

We warmly invite you to attend and encourage you to bring along interested colleagues or friends.

Yukinori Watanabe

Society for Multicultural Community Studies

Securing housing is a fundamental necessity for life—not only in Japan, but around the world. In Japan, private rental housing plays a central role in meeting this need, and a large portion of these properties are provided by small-scale, often individual landlords.

At the same time, Japan is entering a period of significant population decline, which has brought the issue of vacant housing stock into sharper focus. As a result, there is growing demand for foreign residents to fill this gap. However, this has also led to increasing instances where landlords refuse to rent to foreigners, creating new social challenges.

This session presents findings based on both on-the-ground experience and academic research, examining the realities of small-scale landlords and the structural and cultural obstacles facing foreign residents seeking housing.

Note: All participants will receive a complimentary copy of the 35th Anniversary Publication of the Society for Multicultural Community Studies.

[Title]

The Housing Supply Process and Challenges Faced by Small-Scale Landlords in the Private Rental Market – Issues Surrounding Foreign Tenants (Part 1)

[Presentation Topics]

l  The history of housing supply by small-scale landlords
l  The current state and characteristics of small-scale landlords
l  Realities of property management and rental operations
l  The challenges faced by foreign tenants in Japan

[Presenter]

Katsuya Ohno

Certified AFP (Accredited Financial Planner) by the Japan Association for Financial Planners. Financial Planner, currently employed at a real estate company. He holds a Master’s degree in Sociology from the Graduate School of Literature, Nihon University. His academic and professional interests include sociology, urban sociology, housing issues, and housing studies.

[Presentation Schedule]

9:05 Opening Remarks: Prof. Chizuko Kawamura (President, Society for Multicultural Community Studies),
9:15–10:00 Presentation: Katsuya Ohno
10:10 Q&A and Discussion (Moderator: Ryuichi Masuda, Vice President, Society for Multicultural Community Studies)
10:50 Closing Remarks: Prof. Rei Hasegawa (Daito Bunka University)

[Date and Time]

Sunday, April 13, 2025
9:00 AM – 11:00 AM

[Venue]

Tokyo Volunteer Center
(Room A, 10th Floor, Ramla Building, Iidabashi Station)

[Fee]

Members: Free
Non-members: 500 JPY

Note: All participants will receive a complimentary copy of the 35th Anniversary Publication of the Society for Multicultural Community Studies.

多文化研ニューズレター第181号:創立35周年記念シンポジウム報告

皆様

標記の件につきまして、ご報告申し上げます。

2025年3月29日(土)14時から17時にかけて、大東文化会館において、多文化社会研究会創立35周年記念シンポジウムが開催されました。
開会に際し、貫隆夫武蔵大学名誉教授よりご挨拶があり、世界を視野に多文化社会研究会のあり方について示唆に富むお言葉を頂戴しました。

第1部では、「ウェルビーイング新時代とは何か」を共通テーマとして、3名の講演者による発表が行われました。講演1では、明治学院大学教授・明石留美子先生がウェルビーイングの概念や文化変容を意味するアカルチュレーションについて述べられました。講演2では、長谷川礼(大東文化大学教授)が近年実施した外国人及び外国人を雇用する企業へのインタビュー調査の結果を報告し、企業に対する3つの提言を示しました。講演3では、川村千鶴子大東文化大学名誉教授・多文化社会研究会理事長が「ライフサイクルとウェルビーイング」というテーマでご報告されました。特に印象深かった点は、多文化社会研究会にもライフサイクルがあり、今回、創立35周年の節目にこれまでを振り返り、記念誌を発刊したことの意義をフロアの方々としっかりと共有された点です。

続く第2部では、川村千鶴子先生をモデレーターとし、ネパール人のラビ・マハルザン氏、ミャンマー人のチョウ・チョウ・ソー氏を迎え、パネルディスカッションを行いました。パネリストの皆様にはホワイトボードをお配りし、質問に対する回答を記入していただきました。来日時に困難を感じたことについて、住居探し、医療機関の受診、言葉の壁などが挙げられ、フロアも含めて活発な議論がなされました。

閉会にあたり、藤波香織氏より行政に携わる立場からのご挨拶をいただきました。藤波氏は外国人の方々に対して、是非気軽に相談に来てほしいという温かいメッセージを送られました。

シンポジウムの総合司会は、東海大学教授・万城目正雄先生が務められました。

今回のシンポジウムを通じて、多文化社会におけるウェルビーイングの向上、及び多文化共創社会の実現に向けて、皆様と共に考える機会を共有できましたことを心より嬉しく存じます。ご参加くださいました皆様に、心より御礼申し上げます。

長谷川礼

ニューズレター:多文化研年次総会【35周年記念シンポジウム】のご案内

Invitation to “Symposium on the 35th Anniversary of the Society for Multicultural Community Studies”

今日の世界では分断が進み、多様な人々がウェルビーイングを実現できる社会が遠のいているようです。
 多文化社会研究会では、各界の専門家が集まり、35年に渡って実践や研究において多様性を尊重する共創社会創りに取り組んできました。
 この度、多文化社会研究会は「創立35周年記念シンポジウム」を開催いたします。シンポジウムでは、多文化社会研究会が目指してきたウェルビーイングや多文化共創に立ち帰り、皆さまと共に今後の多文化社会研究会の役割や歩みを考えたくご案内申し上げます。
 お誘い合わせの上、ぜひ以下のURLからお申し込みいただければ幸甚です。会員の方でなくてもご参加いただけます。

The Society for Multicultural Community Studies (Tabunkaken) has engaged for 35 years in studies on how best we can all collaborate to create the society where diversity is respected and the well-being of every member of the society can be enhanced. To cerebrate its 35th anniversary, Tabunkaken will host the Symopium on Saturday, March 29 at Daito Bunka Kaikan and would be honored to invite you to this event.

We would be delighted to welcome you to the Symposium and engage in meaningful discussions together.

Event: Symposium on the 35th Anniversary of the Society for Multicultural Community Studies

日時: 2025年3月29日(土) 14時~17時
会場: 大東文化会館 K302号室
アクセス: https://www.daito.ac.jp/access/kaikan.html
参加費: 会員は無料
     会員でない方は500円を会場でお支払いください
参加申し込み: こちらからお申し込みください。
      https://forms.gle/H7NxFj4YoxRxXtG8A

Date & Time: Saturday, March 29, 14:00-17:00

Venue: Daito Bunka Kaikan, Room K302  https://www.daito.ac.jp/access/kaikan.html

Fee: Free for members; ¥500 for non-members

Registration: Please confirm your attendance by registering at

https://forms.gle/H7NxFj4YoxRxXtG8A

【プログラム】

総合司会: 万城目正雄 東海大学教養学部人間環境学科教授

 

 開会挨拶: 貫隆夫 武蔵大学名誉教授
    元大東文化大学
    環境創造学部教授

 

 第1部 Well-being新時代とは何か

  講演1:共創時代のウェルビーイングを考える 
  明治学院大学 社会学部 社会福祉学科教授 明石留美子

  

 講演2:多文化共創の可能性を探るー日本企業の建前と本音       
  大東文化大学経営学部教授および同大学経営研究所所長 長谷川礼

  講演3:多文化共創経営―ライフサイクルとそれぞれのウェルビーイング   
  大東文化大学名誉教授 NPO太平洋協力機構顧問 川村千鶴子

  質疑応答・ディスカッション

 第2部 パネルディスカッション 多文化共創の発展形を探る

  モデレーター
  川村千鶴子 大東文化大学名誉教授
  
  パネリスト
  ラビ・マハルザン 大東文化大学・東洋大学兼任講師ほか

 

  チョウ・チョウ・ソ― NPO法人「ミャンマー日本語教育のかけはし協
  会」理事長ほか

  質疑応答
  
 

  閉会挨拶: 藤波香織 多文化社会研究会理事・自治体職員

Program:

多文化共創フォーラム「多文化共創とメディアの役割」の報告

多文化共創フォーラム「多文化共創とメディアの役割」が2月23日、東京・新大久保のカイ日本語スクールで開催されましたので、その概要を報告します。

フォーラムは2部構成で、第1部は埼玉大の大茂矢由佳講師の基調講演「難民とメディア」、第2部は大茂矢講師に、多文化研副理事長の増田隆一・元朝日放送インターネット事業局長、同理事の藤巻秀樹・元日本経済新聞編集委員の2人を加えた「SNSの功罪とマスメディアの役割」をテーマにしたパネルディスカッションです。ドイツで同日行われた総選挙では、巧みなSNS戦略により反移民・難民を訴える極右政党が第2党に躍進、国際社会に霧が立ち込める中で、非常にタイムリーな企画となりました。

第1部の講演では世論調査に見る日本の難民受入意識の変遷、新聞の難民報道、SNSの難民ツィートのデータ分析の調査結果が次々に報告されました。最後に難民に関する新聞記事などメディアに接触したことが日本人の難民受入意識にどのように影響を与えたかの分析結果も明らかにされました。それによると、「メディアにおける難民の報道のされ方が難民に関するネガティブな世論を引き出した」という通説は必ずしも正しくないとの結果が得られたのことです。その理由として「難民とテロを結びつけるような報道が日本では少なかった」ことが挙げられるそうです。①日本に逃れた難民や日本の難民認定制度の報道は限定的②難民が国を離れた理由に対する関心が乏しい③本来の難民が置かれている状況の深刻さが分からない――などの点から、人々が難民問題に対し「冷めた目」を向けているのではないかとの分析が示されました。講演の後の質疑応答ではフロアから次々に手が上がり、活発な意見交換が行われました。

この後、休憩を挟み、パネルディスカッションが行われ、まず藤巻理事が昨年7月、英国で反移民感情をあおる誤情報がネットに流れたのをきっかけに大規模な暴動が発生したことや、埼玉県川口市でも偽情報によりクルド人を非難する投稿がSNSで拡散されたことなどを例に、SNSの危うさを問題提起。続いて増田副理事長が朝日放送で記者やインターネット事業に関わった経験を踏まえ、SNSの問題点やジャーナリズムの重要性を訴えました。

この日の会場は難民政策に長年携わった君塚宏・法務省出入国在留管理庁審議官、難民支援活動を展開するパスウェイズ・ジャパンの石井宏明理事(難民支援協会理事)のほか、朝日新聞など大手メディアの記者も参加し、満席状態。難民やメディアの問題に深い関心を持つ専門家から鋭い質問が飛び出し、活発な討議が続く中、あっという間に予定の3時間が過ぎました。

藤巻秀樹(多文化研理事)