ⅷ)専門機関/フォーラム型多文化博物館

<ニューヨーク便り>
エリス島移民博物館訪問記 -観光地以上の価値があります
自由の女神を訪問する際には、ぜひエリス島にお立ち寄りください。移民博物館があります。日本人観光客のかなりの方は素通りされますが、多文化研の皆さまなら、きっと4時間でも、5時間でも滞在したくなるでしょう。

エリス島は欧州から米国を目指してきた移民の玄関口となっていました。長い航海を経て、自由の女神が見えた感動の後には、エリス島で感染症、精神異常がないかなどを調べられるのです。当時の様子が再現されています。

一番見ごたえがあったのは、1945年以降の移民に関する展示です。非正規移民当事者がビデオに出演し、自らの声を発しているのには驚きました。日本で同様の展示はまずないでしょう。また、トランプ政権下でさぞかし厳しいトーンで内容が変わっていると思いきや、意外と中立的なトーンで展示が構成されているのが印象的でした。米国の多様性はまだ生きています。さらに、米国国民になるための宣誓式のシーンも見ることが出来ます。その文言は私には同化色が強すぎるようにも聞こえます。皆さまはどう感じられるでしょうか。ぜひ、機会があれば直接訪ねて考えてみてください。

加藤丈太郎 (Queens College, City University of New York  訪問研究者)