『 多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 125号』

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Society for Multicultural Community Studies /Global Awareness
2013年10月27日
『 多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 125号』
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◆トピック:研究会のご案内(11月16日)

次回の研究会を11月16日に開催します。報告は3つになります。第一は、国立民族学博物館共同研究員の小林真生さんによる「レイシズムと外国人嫌悪」という題目でのご報告になります。各地で「ヘイトスピーチ」が行われる現在の日本の状況について、総合的な観点から振り返られた編著書をもとにしたお話をいただきます。また第二は、東京女学館大学の濱田国佑さんから、在日ブラジル人に対する日本人の意識についての調査をもとに、「治安問題」という問題の立て方の質の問題、あるいは排外意識を持ちやすい人などについて、お話いただきます。最後に第三は、明星大学の渡戸一郎さんによる「編入モード」から見るブラジル人第二世代の位置づけ―リーマンショック後の集住地域におけるブラジル人の変容から―」という題目でのご報告です。A.ポルテスによる「編入モード」という理論的枠組みを用いて、日系ブラジル人の特に二世世代の日本社会における位置づけをお話いただきます。

場所:大東文化大学 大東文化会館 302号室
(こちらのHPをご覧ください)
http://www.daito.ac.jp/campuslife/campus/facility/culturalhall.html
(東武練馬駅北口下車、ローソン脇を右に降りれば近道で1分で到着します。)
参加費:500円
時間:15:00~19:00

① 報告:15:00~15:40(質疑、議論を含む)
発表者:小林真生(国立民族学博物館共同研究員)

タイトル:レイシズムと外国人嫌悪

要旨:今年に入り、著名な在日コリアン集住地域においてヘイトスピーチ(ヘイトデモ)が起きるなど、いわゆる「ネット右翼」の言説がネットの外にまで広がってきている。従来見られなかった彼らの行動に対して、その特異性に注目する議論がある。しかし、日本や世界各地、あるいは歴史的な事例を見れば、これは社会が積み残してきた課題が現れているに過ぎないと報告者は考える。その観点を軸に出版した『レイシズムと外国人嫌悪』を紹介しつつ、現状を概観したい。

② 報告:15:45~17:00(質疑、議論を含む)
発表者:濱田国佑(東京女学館大学)

タイトル:在日ブラジル人の「社会問題」化と排外意識

要旨:本報告では、在日ブラジル人に対する日本人の態度の変遷、およびブラジル人に対する排外意識の規定要因について検討を行う。分析の結果、1990年代後半以降、新聞記事において「治安問題」がクローズアップされるようになっていったこと、また「治安問題」は他の「問題」に比べ冷却されにくいなどの点が明らかになった。次に、こうした排外意識の構造を確認すると、愛国的な意識が強い人だけでなく、政治不信が強い人も治安に対する懸念、あるいは排外意識を抱きやすいということが明らかになった。

③ 報告:17:10~18:30(質疑、議論を含む)
発表者:渡戸一郎(明星大学)

タイトル:「編入モード」から見るブラジル人第二世代の位置づけ―リーマンショック後の集住地域におけるブラジル人の変容から―

要旨:「移民の適応は、一定の文脈的要因に規定された、特定の国家への編入の結果である」という、A.ポルテスらによる「編入モード」の理論的枠組みを用いて、1990年代以降に急増しリーマンショック後に大幅に減少しつつある現段階のブラジル人、とりわけその第二世代の位置づけを試みる。日本でも2000年代以降、移民第二世代の教育達成や進路の問題が注目されてきたが、本報告では、外国人集住地域の事例調査を踏まえながら、この問題を「編入モード」の視点から検討することによって、移民政策のあり方を中心に今後の課題を探りたい。

④  多文化研25周年の記念事業についての意見交換会/次回の企画:18:30~19:00 

『 多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 124号』

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Society for Multicultural Community Studies /Global Awareness
2013年8月29日
『 多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 124号』
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◆トピック:研究会のご案内(9月21日)

次回の研究会はミニシンポジウム「主体性とチームワークの多文化施策と教育実践」と題して9月21日に開催します。報告は3つになります。第一は、高橋恵介さんによる「新しい在留管理制度・総務省多言語コールセンターの1年半を振り返って」という題目でのご報告です。総務省からのコールセンター業務を受託され、その実施の責任者として活躍されたご経験からの「多文化共生施策」についてのご報告です。第二は、石田千晃さんによる「ICTネットワークを使ったノン・フォーマルな<学び>の可能性」という題目でのご報告です。ICTを利用した多文化の子どもの教育の可能性についてのご報告になります。第三は、川村千鶴子さんによる「外国にルーツをもつ子どもの不就学を防ぐ―あらゆる子どもの学習権―」という題目でのご報告になります。外国人の子どもの中に増えている不就学への対応として、さまざまなアクターが協働して課題に取り組んでいる事例などについてご報告になります。

場所:大東文化大学 大東文化会館 302号室
(こちらのHPをご覧ください)
http://www.daito.ac.jp/campuslife/campus/facility/culturalhall.html
(東武練馬駅北口下車、ローソン脇を右に降りれば近道で1分で到着します。)
参加費:500円
時間:15:00~19:00
総合司会:石原進さん(移民情報機構代表)

① 報告:15:00~16:20(質疑、議論を含む)
発表者
高橋恵介さん(NECネッツエスアイ)

タイトル
「新しい在留管理制度・総務省多言語コールセンターの1年半を振り返って」

報告要旨
「2009年7月に法案が国会で成立した時、外国人に係るこの制度は日本史上画期的であり、多言語コールセンター設置が必須であると考え準備を始めました。2012年4月、総務省よりコールセンター業務を受託し、その責任者としての1年半を振り返りつつ、現在サービス提供中の消防通訳や、2014年から始まる「社会保障・税番号制度多言語コールセンター」など、民間企業における多文化共生推進施策の事例をお話しいたします。」

② 報告:16:30~18:00 (質疑、議論を含む)
発表者
石田千晃さん(お茶の水女子大学教育開発センター)

タイトル
「ICT(情報通信技術)ネットワークを使ったノン・フォーマルな<学び>の可能性」

報告要旨
「日本において、ICTネットワークが互助ネットワークとしての威力を広く認識されたのは、1995年に起こった阪神淡路大震災の時でした。その後、ICTネットワークは、災害などの緊急事態だけではなく、連綿と続く日常生活の中の課題を少しずつ改善するためにも使われてきました。本報告では、子どもの世界における多文化共生という同じイシューに関わる人同士が長い年月をかけて創り上げてきたICTネットワークを取り上げます。前例がないことに挑戦する人々が編み出してきた知のあり方から、日本におけるノン・フォーマルな<学び>の可能性を展望します。」

③ 報告:18:00~18:50 (質疑、議論を含む)
発表者
川村千鶴子さん(大東文化大学)

タイトル
「外国にルーツをもつ子どもの不就学を防ぐ―あらゆる子どもの学習権―」

報告要旨
「近年、在住外国人の子どもの不就学の根絶を目指して自治体と関係団体が協働で取り組む事例が増え、成果をあげている。不就学になる子どもの家庭の事情は、問題が累積していることが多い。そこでマルティプル・ペアレンティングの理論から多文化家族と地域コミュニティ、支援員と通訳、 学校関係者と自治体などチームワークをもって取り組む仕組みをお話したい。見えない状況におかれ、教育機関とアクセスできない不就学児を防ぐ方法を図式化してご説明します。地域の健全育成力を伸ばすことは、市民の教育にも繋がっていくのではないでしょうか。ご一緒に考えたいと思います。」

④  参加者意見交換会/次回の企画:18:50~19:00