『 多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 135号』

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Society for Multicultural Community Studies /Global Awareness

2015年7月18日

『 多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 135号』

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◆トピック:研究会のご案内(8月1日(土))

お知らせがいつも直前で申し訳ありません。次回の研究会を8月1日(土)に開催します。場所は大阪経済法科大学の東京麻布台セミナーハウスです。ご注意下さい。

研究会では2つの報告を予定しています。一つ目は、秋山肇さん(国際基督教大学大学院博士前期課程在学)の「難民・難民認定申請者の国籍取得:子どもの権利条約及び自由権規約から」です。発表だけでなく川村千鶴子さん(大東文化大学)をファシリテーターとし、コメンテーターとしてナンセンホン(Nang Seng Heng)さん(大東文化大学大学院博士課程後期在学中、ビルマ出身)、郭潔蓉(東京未来大学、台湾出身)をお迎えします。祖国を喪失し無国籍状態におかれている難民の人びとの国籍取得について考えます。難民と難民認定申請者の国籍取得に関して「子どもの権利条約」と「自由権規約」に照らし合わせた研究成果を議論します。

また、二つ目は、久々に原田壽子さん(立正大学名誉教授)が、多民族国家ニュージーランドの子どもの教育の特徴についても語ってくださいます。研究会の後には懇親会も予定しております。皆様お誘い合わせの上ご参加ください。

日時 2015年8月1日(土)午後2時30分~5時30分
場所 場所:大阪経済法科大学東京麻布台セミナーハウス 3階 大研修室

http://www.keiho-u.ac.jp/research/asia-pacific/access.html (日比谷線「神谷町」駅、1番出口から地上に出て左手道なりに徒歩5分。東京タワー方面を目指して下さい)

司会:小林真生

研究発表(1):2:30から4:20(休憩・質疑応答などもふくみます)

テーマ:「難民・難民認定申請者の国籍取得:子どもの権利条約及び自由権規約から」

ファシリテーター:川村千鶴子 (大東文化大学教授)

報告:秋山肇(国際基督教大学大学院博士前期課程在学。平和研究、国際法の視点から無国籍、無国籍の予防を研究)

要旨:本報告は、無国籍である難民や難民認定申請者が、子どもの権利条約及び市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)を根拠として国籍を取得することが可能かを検討する。具体的に、難民の地位に関する条約(難民条約)と子どもの権利条約、もしくは自由権規約の締約国において、難民である無国籍児、もしくは難民認定申請を行っている無国籍児が、当該無国籍児が子どもの権利条約を根拠に当該国籍を取得できるか、という問題を設定する。無国籍である難民や難民認定申請者は世界各国に存在し、日本にもミャンマー出身で無国籍であるロヒンギャが難民認定申請を行うケースが多くみられる。難民や難民認定申請者が無国籍児であった場合、子どもの出生時からの国籍の取得を規定する子どもの権利条約第7条、子どもの最善の利益を規定する子どもの権利条約第3条、及び子どもの国籍の取得を定めている自由権規約第24条によって、受け入れ国の国籍を取得できる可能性がある、というのが報告者の仮説である。本報告の意義は、無国籍である難民や、難民認定申請者の国籍取得につながる可能性があることである。国籍の付与は難民認定よりも多くの権利を保障するため、難民としての保護以上の効果を持つであろう。

コメンテーター:ナンセンホンNang Seng Hong  ビルマ出身シャン族(大東文化大学大学院博士課程後期在学中)

コメンテーター:郭 潔蓉 (東京未来大学教授、台湾出身)

参考文献:

阿部浩己『無国籍の情景:国際法の視座、日本の課題』UNHCR,2010

新垣修『無国籍条約と日本の国内法―その接点と隔たりー』UNHCR,2015

Statelessness Conventions and Japanese Laws :Convergence and Divergence.

小泉康一『国際強制移動とグローバル・ガバナンス』御茶の水書房2013

研究発表(2):4:305:20

テーマ:ニュージラーンドにおける就学前教育

発表者:原田壽子(立正大学名誉教授、日本ニュージーランド学会元学会長、多文化社会研究会元副会長)

概要:ニュージーランドにおける幼稚園、保育園など就学前教育は国としての制度はないままに民間人の力により開設されている。開拓と貧困、核家族、女性労働力の必要な社会で、乳幼児は十分に保育されず、放置されている現実であった。放置されている子どもを保育するために、社会活動をしている富裕層の女性たちの力、低賃金問題の解決をめざしていた社会改革運動を社会的指導者らにより人格形成を主体とする教育面を強調した無償幼稚園が開設された。保育所は女性の労働力確保のために開拓期から始まり、託児のための保育施設で、養護や生活が主体で幼児教育の水準は低く、無償幼稚園との差は明白であった。ニュージーランドでは乳幼児は家庭で育てるべきという考え方が定着しており、保育所は福祉の機関の1つとして恵まられない子どものためにあり、社会的評価を得ることはなかなかできなかった。多民族社会においての保育は民族ごとに言語・文化・伝統を導入した保育内容で民族の誇りを育てることを重視し発展してきた。

(2)各会員の活動報告、情報交換

参加費:500円

以上

『 多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 134号』

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Society for Multicultural Community Studies /Global Awareness

2015年7月6日

『 多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 134号』┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆

◆トピック:研究会のご案内(7月11日(土))

お知らせが直前になりましたが、次回の研究会を7月11日(土)に開催します。場所は前回に引き続き、新大久保のカイ日本語スクール(本校)です。今回でまだ二回目の会場ですので、ご注意下さい。報告は二つで、一つ目は、大野俊さん(清泉女子大学)による、「フィリピン残留日本人・日系人のアイデンティティ・ポリティックス」研究です。二つ目は、武田里子さん(アジア太平洋研究センター)による、「ベトナムの社会変容―結婚移住現象との関連から」です。研究会の後には懇親会も予定しております。皆様お誘い合わせの上ご参加ください。

日時 2015年7月11日(土)14:30~17:30
場所 カイ日本語スクール(本校)JR新大久保駅から徒歩5分ぐらいです。詳しくは下記をご覧ください。http://www.kaij.jp/location/

司会:小林真生

1)研究発表:14:30から15:50

テーマ:「フィリピン残留日本人・日系人のアイデンティティ・ポリティックス」

発表者:大野俊さん(清泉女子大学)

概要: 今月下旬、フィリピンから「残留日本人二世」が集団で来日する。彼らは、戦前期フィリピンに渡った日本人移民の子孫で、戦時中は同国を占領した日本軍に協力した者も多い。日本人の父親とは死別・離別して現地に残留したが、反日感情が渦巻く現地社会で迫害の対象となり、日本人の血統隠しを余儀なくされた。近年は各地に日系人会が組織され、就籍という法的手段で日本国籍を「回復」したり、また日本に出稼ぎの日系三世や四世の間では「世代の格上げ」の動きが起きている。こうした運動の背景などを、彼らの戦争体験やアイデンティティの変化も踏まえて報告する。

2)研究発表:16:0017:20

テーマ:ベトナムの社会変容―結婚移住現象との関連から

発表者:武田里子(アジア太平洋研究センター)

概要:2000年代に入り台湾と韓国で急増した結婚移住者の中でとりわけ注目を集めたのがベトナム女性です。先行研究はベトナム女性が「貧困で低学歴」であることを明らかにしてきましたが、調査に制約があるためベトナムの社会変容と結婚移住現象の関連についてはよく分かっていません。1995年のアメリカとの国交回復の前後から、在外ベトナム人の一時帰国ブームや外資企業の直接投資、海外留学、海外出稼ぎなどを通じて外部世界との接触機会が広がり、ベトナム社会は急速に変化してきました。本報告では、メコンデルタに住む一人の女性とその家族のライフコースに焦点を当てながら、結婚移住現象がこうした市場経済化の動きと絡み合って展開していることを示し、その意味について皆さんと意見交換をしたいと思います。

(2)各会員の活動報告、情報交換

以上