『多文化研23年1月の研究会のお知らせ』

多文化社会研究会
2023年1月の研究会のお知らせ

多文化社会研究会の皆さま

新年1月8日には対面による研究会を行います。お正月シーズンでもありますので、当日は、藤田ラウンドさんの『んきゃーんじゅくカルタ』宮古語・日本語・英語の三言語での宮古島の48の諺をカルタにしたものも紹介いたします。「消滅危機言語」の宮古語を授業で紹介したり、宮古島の先人の知恵もなかなかユニークなものです。学校で紹介するなど、学習素材にしていただけましたら、幸いです。
これは、現在、ひつじ書房やアマゾンでも販売しています。

https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1182-3.htm

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<映像で残す日本国内の消滅危機言語:宮古島の映像から「未来」を考える>

藤田ラウンドさん(横浜市立大学客員研究員)が10年にわたるフィールドワークの成果として制作をしたドキュメンタリー映画(2019年完成、48分)と地域映像アルバム三つ(2022年完成、合計39分)をみながら、宮古島の消滅危機言語、ひいては日本の近代化の今後について、宮古島の地域の人たちの声を聞きながら、考えてみませんか。

ドキュメンタリー映画『みゃーくふつの未来:消えゆく声、生まれる声』

地域映像アルバム『久松アルバム』、『池間島アルバム』、『佐良浜アルバム』
制作:藤田ラウンド幸世
監督:服部かつゆき(映像アーティスト)
謝辞:JSPS科研費15K2659/18K00695

日時:2023年1月8日(日) 3時から5時
場所:相模女子大学(小田急線相模大野駅から徒歩15分)
喫茶棟1階English Room https://www.sagami-wu.ac.jp/campuslife/institution/ (14の建物)
会場の関係で入場制限がございますので、以下のフォームから登録をお願いします。

15:00  挨拶
15:10  『みゃーくふつの未来:消えゆく声、生まれる声』上映
15:50  休憩(10分)
16:00  『久松アルバム』、『池間島アルバム』、『佐良浜アルバム』上映
16:40  制作者と会場とのディスカッション・対話
17:00  終了

<<参加申し込みフォーム>>

https://forms.gle/JKKddxSLsTxPDtNu8?

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映像制作者・研究者プロフィール:
藤田ラウンド幸世(教育学博士)

現在、横浜市立大学、客員研究員
2012年から沖縄県宮古島市でまだ話されている消滅危機言語の宮古語と日本語のバイリンガリズムをフィールドワークの研究手法で研究している。科学研究費3期分の研究成果として、沖縄県宮古島市のことば、宮古語(みゃーくふつ)の話者について、宮古島市の100人の方々に出演いただき、映像エスノグラフィーとして記録した。この映画は、藤田ラウンドの参加が条件で無料で上映している。映像は全て、映像アーティストの服部かつゆきさんとの協働で制作を行なっている。

また、映像のアーカイブとしてYoutubeページ(https://www.youtube.com/@livemultilinguallyproject1057/videos)上で地域映像アルバムから短いクリップまでを公開している。映像で現在の宮古島の現状を伝え、次世代に手渡す作業を志している。

詳しくは「多言語で生きよう:コミュニティ、学校、家庭でのバイリンガル教育」

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第175回多文化共創フォーラム開催のご報告

第175回多文化共創フォーラム開催のご報告:

<ソーシャルワークのフロントラインから外国につながる人々への支援を考える>

 

 2022年12月18日に、第175回多文化共創フォーラムを開催いたしました。本フォーラムでは、「日本で生活する外国人・外国にルーツをもつ人々へのソーシャルワーク」をテーマに、多文化社会研究会理事 明石留美子が「社会福祉・ソーシャルワークによる支援」について概説し、社会福祉法人日本国際社会事業団の常務理事である石川美絵子氏が貴重報告「難民移民支援とソーシャルワーク」を行いました。

 

 社会福祉という枠組みにおいて、社会福祉の課題と社会資源を結びつけることがソーシャルワークです。社会福祉、ソーシャルワークは社会科学であり、エビデンスや理論に基づいて人々の強みを発掘しエンパワーしていくことで彼らのウェルビーイングを高めていきます。

 

 社会福祉士である石川氏は、外国につながる人々への支援では特有の視点が必要であることを強調されました。日本の社会福祉制度は日本国民を対象としているため、外国人が受けられる支援は在留資格によって異なること、外国人との間には想定を超えた違いがあることなど、支援のフロントラインにいらっしゃる石川氏だからこその知見を共有くださいました。最後にウクライナ避難民について、日本では自治体や企業などの申し出により受け入れが進んだ一方で、社会福祉の関わりはなかったと言及されています。移住すると多くの場合は地位が下がる、最も大きな皺寄せを受けるのは子どもたちという言葉は胸に突き刺さります。

 

 質疑応答では、ソーシャルワーカーはどこに居て何をする人なのかとのご質問がありました。社会福祉、ソーシャルワークではあらゆる人々の生活課題やウェルビーイングに取り組みますが、「社会福祉=介護、障害者支援」というのが一般のイメージだと思います。社会福祉のリアルを発信していくことも、ソーシャルワーカーのミッションだとを認識するたいへん有意義なフォーラムでした。

 

 ご参加いただきました皆さま、ご発言いただきました皆さま、そして運営にご協力いただきました皆さまに心から感謝申し上げます。

 

文責:明石留美子