第173回多文化共創フォーラム「多文化社会と日本語教育」を開催いたしました

2022年9月18日、第173回多文化共創フォーラム「多文化社会と日本語教育」を、22名の参加を得てオンライン開催することができました。

増田麻美子様(文化庁国語課日本語教育調査官、多文化研会員)からは、「日本語教育をめぐる政策・施策の概要とその背景」と題し、

1.日本語教育に関する国の方針等

2.日本語学習者数、日本語教師数、日本語教育機関の状況

3.日本語教育機関の認定制度及び日本語教師の資格制度と日本語教育人材の整理と養成・研修の状況

4.文化庁の日本語教育施策・事業

5.これからの日本語教育機関に求められる活動の事例

について、政策文書や統計を用い、また、日本語学校における取り組み事例を紹介しながら、詳細かつ行き届いたご報告をいただきました。

山本弘子様(カイ日本語スクール代表、多文化研理事)からは、「日本語学校の現状と展望」と題し、

・日本語学校の現状(コロナ禍の影響、在籍者・学校数の変化、チェーン化)

・日本語教育の質向上の方向性

・アベプラ「ひろゆき」氏に見られるネガティブな世論の分析

・良質な学生の誘致を含む展望と課題

について、30年間、日本語教育の第一線で活躍されてきた方ならではの具体的かつ貴重な分析をお話しいただき、事前に寄せられた質問にも丁寧に回答していただきました。

質疑応答ディスカッションでは、NPO法人無国籍ネットワークで活動される方や、札幌で日本語学校の校長を務める方から、現場で感じておられる課題を共有していただき、増田様から関連施策についてもご紹介いただきました。

川村様は開会の挨拶で、多文化共創における日本語教育の重要性と、日本語学校の活動のプラスの側面を正しく伝えていく重要性を指摘され、

関口様は、会の結びに、コロナ禍という21世紀最大の試練を乗り越え、日本語教育を進化・発展させていく必要性を述べられました。

本日のフォーラムを通じ、多文化共創の様々な場面における日本語教育施策が拡充されつつあること、日本語学校が、コロナ禍を始めとする様々な試練に直面しながら、教育の質向上に努力されていること、また、関係の皆様が、熱い情熱をもって日本語教育の改善・拡充に取り組んでおられることを知ることができました。

多文化研企画担当理事 佐藤由利子

第174回多文化共創フォーラムのお知らせ

「国際労働力移動を多元的視座から探究する ―協働・共創の未来」
Multicultural Synergetic Society
Analyzing the migration of international workers from various multi-functional viewpoints = Values of co-operation and synergetic society with Human Rights and Business

共催:多文化社会研究会&学習院大学国際社会科学学会
日時:2022年10月15日(土)13:30~17:50
場所:学習院大学南館2号館200教室(豊島区目白1丁目5-1)
教室(定員100名)とオンラインとのハイブリッドで開催します。Zoomでも配信予定

参加費:無料

司会:山本弘子(カイ日本語スクール代表。多文化研顧問)

☆開会挨拶:Opening Comment

多文化研創立から34年。多元価値社会の地道な研究を持続可能にした安心の居場所です。
原田壽子 (立正大学名誉教授。多文化研初代副会長。多文化研名誉顧問。男女共同参画功労者内閣総理大臣賞表彰)

☆趣旨説明:グローバル化は地域の独自性や多様性の主張をも随伴し、情報は瞬時に脈動します。複眼をもって国際労働力移動の多元性を理解しましょう。     川村千鶴子 (多文化研理事長。大東文化大学名誉教授)

第一部 
☆問題提起 その1:「国際労働力移動の歴史的変遷から」(13:40~14:20)
International Labor Migration in Historical Perspective

今、注目を集めている日本の外国人労働者問題を、まずは、その歴史的変遷を踏まえて解説します。初学者、大歓迎です。
万城目正雄 (東海大学教養学部人間環境学科教授、多文化研専務理事。主な著書に、『岐路に立つアジア経済-米中  対立とコロナ禍への対応(シリーズ:検証・アジア経済)』(共著、文眞堂、2021年)、『インタラクティブゼミナール新しい多文化社会論』(共編著、東海大学出版部、2020年)、『移民・外国人と日本社会』(共著、原書房、2016年)などがある

☆問題提起その2:(14:30~15:10)
「移住労働者における数のアプローチと権利のアプローチから考える」
The numbers approach and the rights approach in International Labor Migration.

国際労働移動は、ホスト国からは、開放的な国境と市民権の平等という2つの観点から検討されてきました。そこで、日本においてどの程度国境の開放性を持たせるか、また、平等な市民権をいかに達成するかについて、数のアプローチ・権利のアプローチと題して問題提起を行います。
杉田昌平 (弁護士法人Global HR Strategy、弁護士。JICA国際協力専門員。多文化研会員。慶應義塾大学法科大学院KEIGLAD研究員。主な著書として『改正入管法関連完全対応 法務・労務のプロのための外国人雇用実務ポイント』、『外国人材受入れサポートブック』、『改正入管法対応 外国人材受入れガイドブック』、『グローバルスタンダードと送出国法令の解説』等)

第二部
☆基調講演:「国際労働移動ネットワークの中の日本」(15:20~16:10)
Japan amid the International Labor Migration Network

外国人労働者の受入れに関するこれまでの日本における議論はもっぱら日本国内の状況にのみ注目し、国際的な環境変化を十分に視野に入れてこなかったと言えます。本講演ではアジアで現在、勃興しつつある国際労働市場の実態を明らかにし、そこにおける日本の位置づけを明らかにします。このことは国際移動を考えるにあたって、日本社会が主体的に決定できる/できないことを峻別することを可能にするものであり、今後、急速に移民社会化する日本において、「道徳的に正しくあることが、選ばれることにつながる」という、いわば自己完結的なロジックを越えて、真の課題を明らかにする視点といえます。
是川 夕(国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。
OECD移民政策会合ビューローメンバーなどを歴任。
OECD移民政策専門家会合(SOPEMI)政府代表も務める。
主な著書に、『移民受け入れと社会的統合のリアリティ:現代日本における移民の階層的地位と社会学的課題』勁草書房2019、「国際労働移動ネットワークの中の日本:誰が日本を目指すのか」日本評論社2022等。

休憩<多文化研ユースの紹介とチラシ配布>

第三部
☆パネルデスカッション (フロアから学生も参加できる)(16:20~17:20)
Panel Discussion – Welcoming the speech from the floor
モデレーター:野崎与志子(学習院大学国際社会科学部教授)

1.「日本の中小企業を可視化できる」            万城目 正雄
2.「数のアプローチから未来を拓く」            杉田 昌平
3.「国際移動におけるモードの差異とそこにおける課題」  是川 夕
4.日本を目指す留学生、労働者、家族滞在。
            多様化する「日本移住」への流れ   織田 一(朝日新聞社)
5. 「ライフサイクルの視座と世代間サイクル」        川村 千鶴子

☆集合写真撮影
☆閉会挨拶:Closing comment

多文化研創立35周年を控えて新しい時代を切り拓く。
Coming 35th Anniversary of Society for Multicultural Community Studies, creating the new era of multicultural synergetic community.
 土田 千愛 東京大学地域未来社会連携研究機構特任助教。博士(国際貢献)。

『多文化社会研究会ニューズレター臨時告知』

秋の気配の感じられる季節となりましたが、皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか。

第173回多文化共創フォーラム「多文化社会と日本語教育」– Multicultural Society and Japanese language education を、9月18日午前10時半~からオンラインで開催することとなりました。

日本語教育をめぐる政策の最新動向について文化庁の増田様から、コロナ禍で打撃を受けた日本語学校の現状と今後の方向性についてカイ日本語スクールの山本校長からお話を伺い、多面的な視座から理解を深め、議論したいと考えております。

急なご案内となり恐縮ですが、皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

(多文化研会員以外の方の参加も歓迎いたします。ご関心のある方に本メールをご転送ください)

多文化研企画担当理事 関口明子 佐藤由利子

<開催趣旨>

日本社会における多文化共生/共創の推進を図る上で、日本語教育は最も重要な要素の1つである。

2019年に「日本語教育の推進に関する法律」が制定され、2021年に日本語教師の資格や日本語教育機関評価制度に関する有識者会議による報告書がまとめられるなど、日本語教育の拡充や質の向上に向けて、施策の整備が進められつつある。

他方、国内の日本語学習者の約3分の一が学ぶ日本語学校は、コロナ禍による外国人の入国制限などで大きな打撃を受け、オンライン教育の拡大などを受け、安定的な経営、効果的な教育に向けての模索が続いている。

多文化研では、このような状況を踏まえ、日本語教育関連の政策・施策の策定に携わる文化庁の担当者と日本語学校の経営者から話を聞き、日本語教育の現状と今後の方向性について理解を深め、多面的な視座から議論したいと思います。

<日時>2022年9月18日(日) 午前10時半~12時

<プログラム>

「多文化社会と日本語教育」– Multicultural Society and Japanese language education 

開催挨拶:川村千鶴子(多文化研理事長)

報告1「日本語教育をめぐる政策・施策の概要とその背景(仮題)」増田麻美子(文化庁日本語教育調査官、多文化研会員)

報告2「日本語学校の現状と将来展望」山本弘子(カイ日本語スクール代表 多文化研理事)

質疑応答・ディスカッション

閉会の言葉 関口明子(国際日本語普及協会AJALT会長、多文化研理事) 

司会:佐藤由利子(東京工業大学准教授 多文化研理事)

<参加方法>

下記のURLに、お名前、ご所属などの情報を入力して事前登録なさってください。

https://zoom.us/meeting/register/tJ0qcO6hqT8qG9Q1cWVVJZW6prsWh0s_E9DU

ご登録後、「第173回多文化共創フォーラム「多文化社会と日本語教育」確認」のメールが届きます。

このメールには9月18日の多文化共創フォーラムに参加するためのZoomリンクが書かれています。

当日までこのメールを保管し、当日は「ミーティングに参加する」ボタン、またはメールに書かれたZOOMのURLから入室して下さい。

参加費は無料です。

多文化研会員以外の参加も歓迎します。

何かご不明点等ございましたら、下記までご連絡ください。

佐藤由利子(多文化研企画担当理事)

E-mail sato.y.ad@m.titech.ac.jp