出版記念研究会のご案内『「移民国家日本」と多文化共生論

出版記念研究会のご案内
『「移民国家日本」と多文化共生論
― 多文化都市・新宿の深層』

(明石書店、2008年5月発行)
テーマ:多文化共生政策:移民時代を読み解く
日時:2008年7月27日 開場:12時 午後1時~6時半
場所:大東文化大学信濃町校舎法科大学院3階(第1会議室)
(JR信濃町駅ビル3階。JR総武線信濃町駅下車、改札口を出て、左の店舗側の入り口から入り、奥のエレベーターで3階まで上がり廊下に沿ってお進みください。大学院の入り口は反対側にあります。)
参加費:500円、会員は無料(飲物持参、レジュメ配布)

ごあいさつ
多文化社会研究会 代表 宣 元錫
「移民」をめぐる第2ラウンド論争といわれるこの頃ですが、第1ラウンドと明らかに違う点は、移住者の生活に対して関心が高まったことではないでしょうか。「入口」論に関心が集中しがちな今の情勢の中で、今回の出版は移住者が特別な存在ではなく同じ人間であることを強烈に印象付けるものです。
筆者の多くは新宿をフィールドに長年地道な調査活動を続けてきた方や、新宿が研究のフィールドであり生活の場でもある方が多く含まれています。
日々の生活の中で異文化接触を通して育まれた「生」の問題意識が文章の行間からにじみでるとても生き生きとした内容です。
今回の出版記念研究会では筆者と関係専門家を交え、多文化共生論の研究から多文化共生政策という実践的な提案についても参加者の皆さんと議論を深めればと思います。 是非ご参加ください。
ごあいさつ
『「移民国家日本」と多文化共生論― 多文化都市・新宿の深層』
編者 川村千鶴子
サスキア・サッセンは、グローバル化を読み解く鍵が歴史の掘り起こしにあると説いています。本書は、江戸時代からの歴史の掘り起こしから始まります。
日本は古くから移住者を受け入れ、現在は215万人の外国人登録者がおり、国籍取得した移住者も大勢住んでおります。国際結婚も17組に一組、移民は隣人であり身内の存在となり、多文化共生の努力は脈々と営まれてきました。
今回、多文化の磁場となっている「新宿」をフィールドとして人のライフサイクルにそって「多文化共生論」の体系化を試みました。出産・保育・教育・就学・就労・結婚・祈りの場・街づくり・老後・看取りの深層に迫ってみると「移住」「移民」の本質が浮かび上がってきます。現場の人びとの実践の蓄積を知ることができました。
世界人権宣言や国際人権規約に照らし合わせた国内法の整備、国籍法や在留資格の見直し、外国人の社会参画など具体的な多文化共生政策が必要ですね。公用語習得を重要視するヨーロッパの移民国家をそのまま模倣するのではなく、マルチリンガルな子どもたちの成長なども視野にいれたいと思います。
専門研究機関の創設、多文化共生専門員の養成と身分保障、移民集住地区への予算補助が急務と考えております。また移民歴史博物館の創設を提言します。移民時代を読み解く時間を共有したいと思います。

<<< プログラム >>> 開場:12時 開会:午後1時
◆開会の辞:堀内康史(上智大学)
◆挨拶 :宣 元錫 (中央大学)
◆祝辞 :中本博皓(大東文化大学名誉教授)
●:各章の執筆者の概要と提言 ★:コメンティター
第Ⅰ部 ライフサイクルと多文化共生論 司会:河合優子(東海大学)
1.人間の誕生
●トランスナショナルな出産と助産の現場(藤原ゆかり:聖路加看護大学)
★石川えり〈難民支援協会〉
●無国籍児の誕生(陳 天璽:国立民族学博物館)
★滝澤三郎(前UNHCR駐日代表)
2.ともに子どもを育てる
●協働する保育者と母親と子どもたち(イ・ホヒョン:早稲田大学)
★柴崎敏男(三井物産CSR担当)
3.ともに学ぶ
●マルティリンガルな世界(藤田ラウンド 幸世:桜美林大学)
★前田理佳子(大東文化大学)
4.ともにまちをつくる
●日本での定住化(イ・スンミン:新大久保語学院)
★宣 元錫(中央大学)
5.ともに老後を支えあう
●ホームレスの老後(麦倉哲:早稲田大学地域社会と危機管理研究所)
★上原伸一(国士舘大学)
● 在日二世の高齢化(リ・クンスン:大阪大学)
★近藤 敦(名城大学)
■質疑応答 ・・・・・・・・休憩・・・・・・・・・
第Ⅱ部 地域が日本を超えるとき 司会:藤田ラウンド幸世(桜美林大学)
6.ともに住む
●ともに住む(稲葉佳子:まち居住研究会)
★山本重幸(共住懇)
7.ともに働く
●トランスナショナルな街(渡辺幸倫:相模女子大学)
★斉藤達雄(東北公益文科大学)
8.●多文化意識と異種混淆性 (河合優子:東海大学)
★川野幸男(大東文化大学)
9・●ディアスポラ接触の歴史(川村千鶴子:大東文化大学)
★吉村貴之(東京外国語大学)
10.●多文化共生年表 ★明石純一(筑波大学)
●移民歴史博物館の創設(川村千鶴子) ★中牧 弘允(国立民族学博物館)
第Ⅲ部 総括討論―多文化共生政策:移民時代を読み解く
コーディネーター:陳 天璽
<<参加者全員で課題を討論します>>
■提言のまとめ 川村千鶴子
◆閉会の辞 川野幸男
<プログラムに多少の変更がある場合もあります>
<< 本の販売 >>
当日20冊限定で5040円定価の本を3000円で購入できます。
なお、明石書店による本の紹介ページはこちらからご覧になれます:

http://www.akashi.co.jp/Asp/details.asp?isbnFLD=4-7503-2766-2

多 文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 88号

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Society for Multicultural Community Studies /Global Awareness
2008年6月27日
『 多 文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 88号 』
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トピック:次回:「『移民国家日本』と多文化共生論」(明石書店)出版記念研究会(7/27)
<ごあいさつ>
6月の研究会は、1時から6時15分まで、満席の状況で中身の濃い時間を共有できました。
小林真生さんと堀内康史さんによる「対外国人意識」に関するアンケート調査の手法と分析は、意識調査
のあり方や研究成果をどのように多文化社会に還元していくのかを問う貴重な報告で示唆的な論議ができ
ました。
研究を社会に活かしていくためには実践者との連携が大切で、難民支援協会事務局長の石川えりさん、
NPO「みんなのおうち」代表小林普子さんなど第1線で活躍される方々からも貴重なご意見がありました。
3番目の上原伸一さんのトンガ・サモアの報告は、新鮮で大変面白いお話でした。太平洋島嶼諸国のマ
ス・エクソダス現象を再度大いに語り合いたいものです。
さて、次回(7月27日)の研究会は、先月明石書店から刊行された「『移民国家日本』と多文化共生論」
の出版記念研究会の予定です。「『移民国家日本』と多文化共生論」は、編著者ほか、執筆者の多くが本会
の会員で構成されていました。そこで、次回は各章の執筆者による提言の解説と指定討論者によるコメン
トを組にして対話の中で論点と主張をより明確にする会にしたいと考えています。
詳細が決まり次第、プログラムを作成してお送りしますが、まずは7月27日日曜日の予定を空けておいて
いただければ幸いです。
<次回研究会のお知らせ>
日時:2008年7月27日(日) 午後1時~5時半
参加費:会員無料、会員外500円
場所:大東文化大学法科大学院(信濃町校舎)(JR信濃町駅下車、信濃町駅ビル3階)
(休日用入り口からの出入りとなります。詳細は次回お送りするプログラムをご参照ください。)
「『移民国家日本』と多文化共生論」 目次
第1部 多文化共生社会の胎動と歴史的展開
第1章 共に生きる街・新宿大久保地区の歴史的変遷(稲葉佳子)
第2章 受け継がれていく新住民の街の遺伝子(稲葉佳子)
第3章 ディアスポラ接触——地域が日本を超えるとき(川村千鶴子)
第4章 韓国人ニューカマーの定住化と課題(イ スンミン)
第2部 ライフサイクルと多文化共生論
第5章 多文化な出産とトランスカルチュラルケア(藤原ゆかり)
第6章 多文化子育て空間から創出される協働の世界——養育者の文化変容を中心に(イ ホヒョン)
第7章 新宿区で学びマルティリンガルとなる子どもたち(藤田ラウンド幸世)
第8章 共に働く街・新宿——トランスカルチュラリズムの形成(渡辺幸倫)
第9章 共に老後を支えあう——在日外国人高齢者の現状と課題(李錦純:リ クンスン)
第3部 トランスカルチュラリズム——地域が日本を超えるとき
第10章 ホームレス、社会的排除と社会的包摂——新宿区の温かさと冷たさ(麦倉哲)
第11章 無国籍者との共生(陳天璽:チェン ティエンシ)
第12章 文化のハイブリッド性と多文化意識(河合優子)
終章 問われる国の理念と多文化共生政策(川村千鶴子) 多文化共生年表
なお、ご出欠は、渡辺までご連絡下さい。
皆さんのお越しをお待ちしております。