第200回多文化共創フォーラム振り返りニュースレター

多文化社会研究会正会員の皆様2026年2月22日、大東文化会館404教室において、多文化社会研究会主催による第200回多文化共創フォーラムが開催されました。基調講演では、外国資本による不動産取得をめぐる実態を整理するとともに、当該問題が社会的論点として浮上している背景を探り、さらに内政および制度的枠組みの観点から再考が加えられました。本テーマは現在の喫緊の課題の一つであり、時間的制約により十分な討議の機会を設けられなかった点は惜しまれるものの、参加者からは高い関心と問題意識が示されました。以下、講演者からのメッセージを紹介いたします。

 基調講演 大野勝也(多文化社会研究会理事、社会学修士)
『外国資本による不動産取得は何が問われているのか
実態と制度、内政の視点から その3』

本講演では、外国資本による不動産取得の何が問題かを問いとして議論いたしました。講演では、実務内容を交えつつ実態に基づく論点と4つの側面について講演を行いました。原則自由に土地取得が出来る日本で土地の管理責任を個人を中心に委ねた結果生じた日本の内政、土地管理制度そのものの問題でした。しかし、このような内側の課題が外国人など外側の問題と置き換わっているという問題も発生しています。このような問題が行き過ぎると日本人と外国人の間に溝をつくり国家を分断する問題になる可能性があるのがこの問題の大きな問題です。この問題は、誰かを排除したりすることで解決する問題ではなく、土地をどう扱う社会なのかを市民レベルで考えることから始める必要があるのではないでしょうか。

報告1 増田隆一(多文化社会研究会副理事長、ジャーナリスト)
『不動産取得について海外の事例』

諸外国も過去に日本と同じ問題に直面し、対応はそれぞれに特徴がある。オーストラリアは、外資の野放図な不動産買付けを『独自の不動産流通システムの創生』ということで純化できた好例と言える。フランスでは40年前、日本が”乱暴なハゲタカ外資”だった過去があり、当時のフランス政府はいまの日本のように対応処理に苦慮した。

報告2 川村千鶴子(多文化社会研究会理事長、大東文化大学名誉教授)
『太平洋島嶼国の過去・現在・未来』

太平洋島嶼国の多くは、海面上昇による水没の危機に直面している。ツバルでは、住民の多くがオーストラリアへの移住を申請している。14カ国の特徴を捉え、島嶼民の主体性による「国土」と「EEZ(排他的経済水域)」の議論が活発化していく可能性はある。EEZとは、沿岸から原則200海里までの海域で、漁業島嶼国にとってEEZは、国土の水没との関連で注目されている。

多文化社会研究会理事

長谷川礼