ニューズレター:多文化研年次総会【35周年記念シンポジウム】のご案内

Invitation to “Symposium on the 35th Anniversary of the Society for Multicultural Community Studies”

今日の世界では分断が進み、多様な人々がウェルビーイングを実現できる社会が遠のいているようです。
 多文化社会研究会では、各界の専門家が集まり、35年に渡って実践や研究において多様性を尊重する共創社会創りに取り組んできました。
 この度、多文化社会研究会は「創立35周年記念シンポジウム」を開催いたします。シンポジウムでは、多文化社会研究会が目指してきたウェルビーイングや多文化共創に立ち帰り、皆さまと共に今後の多文化社会研究会の役割や歩みを考えたくご案内申し上げます。
 お誘い合わせの上、ぜひ以下のURLからお申し込みいただければ幸甚です。会員の方でなくてもご参加いただけます。

The Society for Multicultural Community Studies (Tabunkaken) has engaged for 35 years in studies on how best we can all collaborate to create the society where diversity is respected and the well-being of every member of the society can be enhanced. To cerebrate its 35th anniversary, Tabunkaken will host the Symopium on Saturday, March 29 at Daito Bunka Kaikan and would be honored to invite you to this event.

We would be delighted to welcome you to the Symposium and engage in meaningful discussions together.

Event: Symposium on the 35th Anniversary of the Society for Multicultural Community Studies

日時: 2025年3月29日(土) 14時~17時
会場: 大東文化会館 K302号室
アクセス: https://www.daito.ac.jp/access/kaikan.html
参加費: 会員は無料
     会員でない方は500円を会場でお支払いください
参加申し込み: こちらからお申し込みください。
      https://forms.gle/H7NxFj4YoxRxXtG8A

Date & Time: Saturday, March 29, 14:00-17:00

Venue: Daito Bunka Kaikan, Room K302  https://www.daito.ac.jp/access/kaikan.html

Fee: Free for members; ¥500 for non-members

Registration: Please confirm your attendance by registering at

https://forms.gle/H7NxFj4YoxRxXtG8A

【プログラム】

総合司会: 万城目正雄 東海大学教養学部人間環境学科教授

 

 開会挨拶: 貫隆夫 武蔵大学名誉教授
    元大東文化大学
    環境創造学部教授

 

 第1部 Well-being新時代とは何か

  講演1:共創時代のウェルビーイングを考える 
  明治学院大学 社会学部 社会福祉学科教授 明石留美子

  

 講演2:多文化共創の可能性を探るー日本企業の建前と本音       
  大東文化大学経営学部教授および同大学経営研究所所長 長谷川礼

  講演3:多文化共創経営―ライフサイクルとそれぞれのウェルビーイング   
  大東文化大学名誉教授 NPO太平洋協力機構顧問 川村千鶴子

  質疑応答・ディスカッション

 第2部 パネルディスカッション 多文化共創の発展形を探る

  モデレーター
  川村千鶴子 大東文化大学名誉教授
  
  パネリスト
  ラビ・マハルザン 大東文化大学・東洋大学兼任講師ほか

 

  チョウ・チョウ・ソ― NPO法人「ミャンマー日本語教育のかけはし協
  会」理事長ほか

  質疑応答
  
 

  閉会挨拶: 藤波香織 多文化社会研究会理事・自治体職員

Program:

多文化共創フォーラム「多文化共創とメディアの役割」の報告

多文化共創フォーラム「多文化共創とメディアの役割」が2月23日、東京・新大久保のカイ日本語スクールで開催されましたので、その概要を報告します。

フォーラムは2部構成で、第1部は埼玉大の大茂矢由佳講師の基調講演「難民とメディア」、第2部は大茂矢講師に、多文化研副理事長の増田隆一・元朝日放送インターネット事業局長、同理事の藤巻秀樹・元日本経済新聞編集委員の2人を加えた「SNSの功罪とマスメディアの役割」をテーマにしたパネルディスカッションです。ドイツで同日行われた総選挙では、巧みなSNS戦略により反移民・難民を訴える極右政党が第2党に躍進、国際社会に霧が立ち込める中で、非常にタイムリーな企画となりました。

第1部の講演では世論調査に見る日本の難民受入意識の変遷、新聞の難民報道、SNSの難民ツィートのデータ分析の調査結果が次々に報告されました。最後に難民に関する新聞記事などメディアに接触したことが日本人の難民受入意識にどのように影響を与えたかの分析結果も明らかにされました。それによると、「メディアにおける難民の報道のされ方が難民に関するネガティブな世論を引き出した」という通説は必ずしも正しくないとの結果が得られたのことです。その理由として「難民とテロを結びつけるような報道が日本では少なかった」ことが挙げられるそうです。①日本に逃れた難民や日本の難民認定制度の報道は限定的②難民が国を離れた理由に対する関心が乏しい③本来の難民が置かれている状況の深刻さが分からない――などの点から、人々が難民問題に対し「冷めた目」を向けているのではないかとの分析が示されました。講演の後の質疑応答ではフロアから次々に手が上がり、活発な意見交換が行われました。

この後、休憩を挟み、パネルディスカッションが行われ、まず藤巻理事が昨年7月、英国で反移民感情をあおる誤情報がネットに流れたのをきっかけに大規模な暴動が発生したことや、埼玉県川口市でも偽情報によりクルド人を非難する投稿がSNSで拡散されたことなどを例に、SNSの危うさを問題提起。続いて増田副理事長が朝日放送で記者やインターネット事業に関わった経験を踏まえ、SNSの問題点やジャーナリズムの重要性を訴えました。

この日の会場は難民政策に長年携わった君塚宏・法務省出入国在留管理庁審議官、難民支援活動を展開するパスウェイズ・ジャパンの石井宏明理事(難民支援協会理事)のほか、朝日新聞など大手メディアの記者も参加し、満席状態。難民やメディアの問題に深い関心を持つ専門家から鋭い質問が飛び出し、活発な討議が続く中、あっという間に予定の3時間が過ぎました。

藤巻秀樹(多文化研理事)

ニューズレター:多文化共創フォーラム「多文化共創とメディアの役割」のリマインド

多文化研のみなさま

今週末の日曜日=2月23日に、下記の予定で『多文化共創フォーラム:多文化共創とメディアの役割』を、新大久保・カイ日本語スクールにて開催致します。

ご興味がある方は、参加申込みフォームに記入をお願いいたします。

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SNSが普及した今日、自分と似たような意見や情報ばかりに接触することによる意見の先鋭化(右派はより右派に、左派はより左派に)が世界的に指摘されています。2024年、欧州の国々では反移民を掲げる極右政党が躍進し、アメリカでは移民に不寛容なトランプ氏が大統領に返り咲くなど、移民や難民をめぐる国際世論が厳しさを増しています。この世界的な流れは、外国人の受入れが拡大している日本社会においても、注視すべき事象と考えられます。今回のフォーラムではメディアに焦点を当て、現代の社会におけるSNSの影響を分析するとともに、新聞やテレビなど既存のメディアが多文化共創を推進する上でどんな役割を果たすことができるかを考えます。

 日時:2025年2月23日(日)13時〜16時

 場所:カイ日本語スクール

 東京都新宿区大久保1丁目15−18(JR新大久保駅から徒歩5分)

①  基調講演「難民とメディア」

講師 大茂矢由佳(埼玉大学学術院・教養学部大学院講師)

日本のメディア空間において、難民はどのように語られてきたのかという点について、ツイッター(現X)の日本語による投稿内容の量的分析から得られた知見を報告します。また、メディア接触による意識変容の有無を検証したサーベイ実験の結果から、日本人のメディア利用と対難民意識について考察します。メディアを偏見を助長するツールとしてではなく、理解を促進するためのツールとして活用していく道を模索・議論する機会にしたいと思います。

講師:大茂矢由佳さん

司会・討論者 藤巻秀樹(元日本経済新聞編集委員、元北海道教育大学教授)

藤巻秀樹多文化研理事

②  パネルディスカッション「多文化共創とメディア」

登壇者 増田隆一(多文化研副理事長) 大茂矢由佳 藤巻秀樹

 基調講演も踏まえ、多文化共創社会におけるメディアの課題と役割を議論します。

埼玉県戸田市では、SNS上でクルド人排斥を主張する情報が広がり、社会問題となっています。英国でも反移民感情をあおる偽情報がSNSに出回り、これをきっかけに大規模な暴動が各地で起こりました。SNSではターゲットを絞り、不安や怒りをあおれば、いとも簡単に人々の考えが誘導されてしまうという危うさがあります。移民や難民は社会に不満を持つ人々の標的にされやすい傾向があり、SNSはともすれば多文化共創社会の大きな妨げになりかねません。こうした時代において多文化共創を促す正しく、公平な情報発信をするにはどうしたらいいのか、新聞やテレビなど既存のマスメディアも含めたメディアの役割を考えます。

参加申し込みフォーム:https://forms.gle/Ee3Pajkk7c2Ggrad7

会場のカイ日本語スクールには、ある程度の定員があり、参加希望者が大幅に多数となった場合には、制限を加える場合があり得ます。
そのときは、Zoomによる視聴参加の検討を行います。

多文化研メディア班
増田隆一 拝

(増田隆一)

フォーラム「多文化共創とメディアの役割」チラシ

2025年1月26日多文化研フォーラム 「多文化共創社会に向けた外国人支援・相談の現状と課題」の振り返り

多文化社会研究会のみなさま

先日(1月26日)に行われた研究フォーラムの報告を当日に総合司会をしていただいた野崎与志子(学習院大学教授)さんから頂きました。とても充実的な会となりましたので、参加できなかった方もぜひご一読いただければと存じます。

次回の研究会は2025年2月23日(日)13時〜16時「多文化共創とメディアの役割」です。詳しくはこちらをご覧ください。

2025年1月26日多文化研フォーラム 

「多文化共創社会に向けた外国人支援・相談の現状と課題」の振り返り

今回のフォーラムの趣旨は以下のようなものであった。

「海外(特にアジアの各地)から移住してきた外国籍の人々が、日本社会で雇用され仕事を継続し生活していく上で、就職サポートや生活上の困りごと相談の必要性や重要性が高まっている。在留資格等の相談については行政書士が対処することが多く、その他の相談(医療や労働、子どもの教育などの生活相談)については、NPOの組織の職員やボランティアが対処していることが多い。今回のフォーラムでは、外国人向けのサービスや相談に応じる現場にいる専門家・実践家の話を聴き、また多文化研の外国人メンバーに自分の経験を語ってもらうことを通して、日本社会が多様性に対応していくためにどのような課題があるのかを探る。」

1番目の講師はダニエーレ・レスタ(慶應義塾大学非常勤講師)にお願いし、「レスタ先生に聞いてみよう! 外国人として日本に生きること:どんなことに困ったの?どんなサービスがあるとよかったの?」というタイトルでレスタ先生の日本滞在初期の経験に基づいてクイズ形式でお話をうかがう予定であったが、体調不良のため欠席となり、司会の野崎与志子がレスタ先生と作成したクイズを行った。ただし、回答は保留で、レスタ先生が回復されたら行うということにした。

2番目の講師は、Asian People’s Friendship Society(APFS)代表の吉田まゆみ氏による「APFSの相談事業:実践と課題」というタイトルでの講演であった。APFSは板橋区にある特定非営利活動法人で1987年発足し現在では20カ国以上約四千人のメンバーを要する組織となっている( http://apfs.jp/outline 参照)。

APFSは移民の正規・非正規を問わず、在留資格や生活(結婚・離婚、教育、医療など)に関する相談を受け付けている。また、非正規滞在家族・子どもたちの支援としてTBSテレビの Nスタ 調査報道で取り上げられたこともある(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/186292?display=1&fbclid=IwAR0X8oi8pu_YeZEJViu1QBHacVtzWP8cU5-5YqZkYikUY4_lTG252Ne1mFg)。

実例として、非正規滞在のフィリピン人シングルマザーに対して、国籍の取得、出入国在留管理局への出頭支援・同行、食料支援、子どもたちの学校との連絡(在留資格取得の進捗、進学など)、学費・交通費の支援を行ったケース、非正規滞在のネパール人妊婦に対して、住居探し、出入国在留管理局への出頭支援・同行、入院助産に使える病院探し・調整、難民申請支援などの支援を行ったケースが紹介された。保険証がない場合の医療費については、150%〜300%の支払いになることがあるという事実には特に驚いた。

3番目の講師は、大房行政書士法人代表の大房明良氏で、「行政書士の仕事から見えてくる日本の外国人労働者受け入れの課題」というタイトルでお話いただいた。大房行政書士法人は2016年設立で、在留資格申請等の入管業務全般、外国人採用・雇用支援、登録支援機関サポート業務に特化した行政書士事務所である( https://gyosei-cambo.com/参照)。

大房氏は世界各地を訪問し、カンボジアには5年在住したという経験を日本に帰国後に生かせる仕事として、行政書士となった。外国人採用・雇用支援および登録支援機関サポート業務についての話の中で、「事前ガイダンス」「生活オリエンテーション」「相談・苦情への対応」というような業務の内容を具体的に話していただき、あまり知られていないことも多く参考になった。毎日の「相談・苦情」の件数がかなり多いということにも驚いた。行政書士から見た外国人労働者受け入れの課題として、「技能実習生の前職要件」「特定技能の厳格な受入要件」「単純作業と専門的で高度な作業の曖昧な線引き」「マスコミの報道姿勢やSNSでの偏った情報」「日本人の潜在的に持つ東南アジアの方々への偏見」という課題があることを指摘し、非常に明快で的確な説明をしていただけた。最後のまとめとして「一定数の不良外国人は存在するが、外国人労働者の多くは善良」であるのであるから「是々非々での対応」を試みるべきである、という言葉が印象に残った。

講演の後、多文化研メンバーの大野勝也氏の司会で、活発なディスカッションとなった。質問も多岐にわたり、具体的なものも多く、現場で実務を行っている講師の方々から学ぶことが多かった。現在のようなSNSでデマが急激に広まってしまう社会で、現場での事実に基づいた情報や知識を広めていくために、多文化社会研究会がますます貢献できるようになると良いなと感じた。

総合司会:野崎与志子(学習院大学教授)