第183回多文化共創フォーラム「日本の難民保護と高度人材受け入れ」のご報告

2024年3月2日(土)に、理事会・総会(11:00-11:50)の後、12:00-13:50頃まで、(公財)人権教育啓発推進センター人権ライブラリー多目的スペースにて、第183回多文化共創フォーラム「日本の難民保護と高度人材受け入れ」を開催しましたので、ご報告いたします。

ショートノーティスでのご案内だったにもかかわらず、当日は、対面・オンライン合わせて約20名の方にご参加いただきました。

フォーラムは、川村千鶴子理事長の開会の挨拶により始まりました。

第1部では、土田千愛理事と明石純一副理事長が『日本の難民保護―出入国管理政策の戦後史』(慶應義塾大学出版会、2024年)をもとに講演・対談しました。

まず、土田理事より、本の概要と「補完的保護対象者の認定制度」導入について発表がありました。

その後、明石副理事長より、移民研究における政治学分野の発展に必要なこと、国益と「難民政策」の関係、「補完的保護対象者の認定制度」の今後の政策評価についてコメントがあり、特に「難民政策」の実効性評価について意見が交わされました。

第2部では、杉田昌平理事と万城目正雄専務理事兼事務局長が『高度外国人材 採用から活躍までの「定石」』(ぎょうせい、2024年)をもとに講演・対談しました。

まず、杉田理事は、在留資格制度と雇用上の地位構造にズレがあることを説明しました。また、日本はファーストキャリアとして選ばれやすいが、今後、セカンドキャリアやライフサイクルのどの段階においても選ばれるために、働く環境も住む環境もグローバル化する必要があることをお話しました。

万城目事務局長との対談では、企業が直面していることを知るうえで本書が重要な本であることが確認され、流動性の高い高度外国人材の定着を図るためには、企業努力だけでなく社会統合の視点も必要であり、それが最終的には経済発展につながるということが話し合われました。

フォーラムは、関口明子理事の閉会の挨拶でお開きとなりました。

お忙しいところ、対談のお相手を務めていただきました明石純一先生、素晴らしいご対談を披露していただきました杉田昌平先生、万城目正雄先生、誠にありがとうございました。

「外国人」に関するあらゆる分野が転換期にあり、社会の変容と新たな価値の創出が様々な「境界」を超えて求められているように感じます。
これからも多分野の先生方に学びながら、今後の日本の在り方について考えるイベントを企画して参ります。

今年度もお世話になり、ありがとうございました。
来年度もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

土田千愛(多文化研企画担当理事、東京大学特任助教)