【多読味読<90>:大橋知穂共著「未来を拓くための学びーアジアの子ども・若者たちの抱える困難と多様な学びの保障」『共生への学ぶを拓くSDGsとグローカルな学び』株)エイデル研究所2022年6月、254ページ。】

多読味読<81>:大橋知穂単著『未来を拓く学び「いつでもどこでも誰でも」パキスタン・ノンフォーマル教育、ゼロからの出発―』佐伯印刷株式会社2021年3月31日205ページ。
多文化研のみなさま
川村千鶴子です。
今朝11月13日朝日新聞をご覧になった方が多いと思います。一面トップは、栄養失調とマラリアで衰弱した1歳の女の子の写真です。ソマリアとケニアとエチオピアは、気候変動の影響を受けて過去40年で最悪の干ばつに襲われている。30万人以上が飢餓に直面している現実を伝えています。
9ページ目は、「移民受け入れ国ニッポン」
鈴木江理子さんと是川夕さんの貴重な論考が掲載されています。必読ですね。
今朝、私が最も注目したのは、朝日新聞の2ページ目に掲載された2枚のカラー写真と「洪水は人災 途上国の叫び」というCOP27の記事です。エジプトで開催されている国連の気候変動会議(COP27)で地球温暖化による「損失と被害」を被った国々への救済策はどうなっているのでしょう。国土の3分の一が冠水したパキスタンの現地のことです。8月29日のパキスタン南西部のパルチスタン州の洪水の被害に遭遇した住居の写真と9月4日の洪水の被害で浸水した道を歩く少女の写真です。洪水被害の爪痕が深く、死者が約1740人に達し、約229万戸が損壊。世界の温室効果ガスの排出の8割が主要20カ国(G20)からです。COP27でのシャリフ首相の演説は説得力がありました。
今回<多読味読>でご紹介する大橋知穂さんは、いまも現地パキスタンで不就学児童のために日夜、尽力されています。パキスタンの不就学児童は2,280万人、世界で2番目に多い状況を改善するために「ノンフォーマル教育」を提唱・支援してきました。現地でもう15年、あるいは20年ほどになるのでしょうか。沢山の写真や行間から愛情と情熱があふれています。
私は、21歳の時、カラチの砂漠地帯で飢餓寸前の大勢の国内避難民と遭遇した経験を忘れられず、「無関心ではいけない」。何かを始めたいと思っていました。その後、アジアユネスコ文化センターのフィリピンと韓国の旅をご一緒した知穂さんのお父上の大橋祥宏さま(元日本出版クラブ専務理事)らとご一緒にNGO Global Awarenessを発足させることができました。その10年後位に名称が「多文化社会研究会Global Awareness」となったのが1989年4月でした。
2021年4月5日の朝日新聞は、戦後の横須賀復興に尽力したベントン・デッカーの回顧展を掲載しています。「横須賀学の会」の代表である大橋祥宏氏にインタビューした写真が掲載されています。昨年、淀橋教会で行われた夫の召天者記念の祈祷会にご参加いただき貫隆夫先生とご一緒に多文化研の現在と未来を語り合ってくださいました。いつも激励してくださり感謝申し上げます。
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大橋知穂共著「未来を拓くための学びーアジアの子ども・若者たちの抱える困難と多様な学びの保障」『共生への学ぶを拓くSDGsとグローカルな学び』株)エイデル研究所2022年6月、254ページ。

【目次】
はしがき(佐藤一子・大安喜一・丸山英樹)
序章 グローカルな視野でSDGsにむきあい、「共生への学び」を拓く(佐藤一子)
第Ⅰ部 持続可能な地域づくりとコミュニティ教育
第1章 <都市の世紀>の環境学習(安藤聡彦)
第2章 ESDとCLC ―日本とアジア(大安喜一)
第Ⅱ部 生きづらさを抱える 子ども・若者の自立支援と社会参加
第3章 生きづらさをかかえる子ども・若者の自立支援(佐藤洋作)
第4章 EUの若者政策 ―就労支援と社会的包摂をめぐる実践と課題(濵田江里子)
第5章 未来を拓くための学び
―アジアの子ども・若者たちの抱える困難と多様な学びの保障(大橋知穂)
第Ⅲ部 多文化共生社会への模索と国際交流
第6章 「共生社会」創造を目指した外国人移住者との地域日本語学習活動(山田 泉)
第7章 「社会統合」に向けた学びの保障とは
―多文化共生社会への壁と課題―(金 侖貞)
第Ⅳ部 グローバル時代の平和・人権学習、文化多様性とシティズンシップ教育
第8章 平和の文化の創造と核兵器廃絶への国際連帯(佐藤一子)
第9章 学習の自由・表現の自由・文化多様性を育む博物館(新藤浩伸)
第10章 グローバル時代のシティズンシップ教育(上原直人)
終章 SDGsの先を展望する共生社会へ向けた生涯学習(丸山英樹)
コラム① ユネスコのSDGsへの取り組み
諸橋淳(国連教育科学文化機関(ユネスコ)持続可能な開発のための教育専門官)
コラム② 「現地」の力を頼りに「水俣」を伝える
葛西伸夫(一般財団法人水俣病センター相思社職員)
コラム③ 震災からの想像力と創造力
石井山竜平(東北大学准教授)
コラム④ コミュニティにおけるインクルーシブな防災管理事業 フィリピン・ビサヤ州の取り組み
ラモン・G・マパ/Ramon G. Mapa(PILCD事務局長)、翻訳:大安喜一
コラム⑤ 就職活動におけるセクハラの防止を求める学生の要望
遠藤理愛(一般社団法人Voice Up Japan ICU支部)
コラム⑥ 共生をめぐる未完の「思想」― コーヒーハウスの実践から
島本優子、井口啓太郎(ともに国立市公民館「コーヒーハウス」ボランティアスタッフ)
コラム⑦ 外国ルーツの人々と関わって見えたこと
小林普子(特定非営利活動法人みんなのおうち代表理事)
コラム⑧ 夜間中学と自主夜間中学
添田祥史(福岡大学准教授、基礎教育保障学会事務局長)
コラム⑨ 広島―この土地で互いに育まれ、支え合って働く小さなアリたち
渡部朋子(NPO法人ANT-Hiroshima 理事長)
コラム⑩ すべての子どもたちに美術とふれあう場を―府中市美術館の学習プログラム
武居利史(府中市美術館学芸員)
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著者の大橋知穂さんは、ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)開発人類学修士を取得され、ユネスコ・アジア文化センターで、アジアの子どもの本の共同出版事業や、識字・ノンフォーマル教育・交流事業やファンドレイジングを担当されました。タイでもAPPEALでアジアの教育やコミュニティ学習センターの促進事業に携わり、2008年からJICAのノンフォーマル教育プロジェクトに12年間現地で尽力されてきました。その間のご著書や論文は多数です。現在もずーっと知穂さんは、パキスタンにおられるので、出版社から2冊の感動の御高著をご恵与いただきました。深謝申し上げます。
New Horizon for Living Together:SDGs and Glocal Learning
大橋知穂共著「未来を拓くための学びーアジアの子ども・若者たちの抱える困難と多様な学びの保障」『共生への学ぶを拓くSDGsとグローカルな学び』株)エイデル研究所2022年6月、254ページ。
川村千鶴子