【多読味読<68>中本博皓著『太古の昔 ゾウの楽園だった日本列島』(株)税務経理協会2020年12月】
多文化研のみなさま
中本博皓先生 (多文化研名誉会長、農学博士。大東文化大学名誉教授)
40万年も前から日本列島に棲みついていたナウマンゾウの長年にわたるご探究をこのたび、一冊の立派な本にまとめられ、ご高著をご恵贈賜り、心から感謝申し上げます。
『絶滅したナウマンゾウのはなし 太古の昔 ゾウの楽園だった日本列島』

このパンデミックを奇貨として、地球の歴史、人類の歴史に思いを馳せる日々を送ってまいりました。本書から人類は、自ら「種」の絶滅の危機と常に向き合い、闘いながら生きていかなければならない状況にあり、それもまた、地球温暖化という現世の気候変動によるストレスの一つだということを忘れてはならないことを深く学びました。
それにしても野生ゾウの一日の移動域は、すごい広さですね。なんと200キロ平方メートル。リス氷期におえる海水準の低下で、北方の海峡が陸地化して、ナウマンゾウは、アジア大陸からサハリンへ、そして北海道にも移動していた忠類生息論に繋がる可能性も否定できないと書いておられます。
ナウマンゾウなどの大型獣の絶滅の原因には、自然環境の物理的ストレスや人類との出会いなど生物的ストレスが考えると書いておられます。
生物的なストレスには、直接に与えられる影響だけでなく、ウイルスから昆虫までさまざまなストレスが原因で種の絶滅を招く可能性もあるのですね。
かつては、中本先生を中心に、多文化研の環境問題研究者は、海面の上昇から海抜の低いツバルなど太平洋島嶼国の深刻な問題に太平洋調査をして、20年ほどになります。
ケニアなどアフリカ大陸ではサバクトビバッタという昆虫の大群が飛来して、砂漠化に輪をかける事態を引き起こしているのですね。
人類を震撼させている新型コロナウイルスも、一つ間違うと人類という種の絶滅をもたらしかねない。重ねて言えば、人類は、自ら「種」の絶滅の危機と常に向き合い、闘いながら生きていかなければならない状況にあり、それもまた、地球温暖化という現世の気候変動によるストレスの一つだということを忘れてはならないと思いました。
ナウマンゾウの歴史から コロナ時代を生きる知恵と史実に根ざす柔軟な視点を学ばせていただいております。
ここに新しい会員の方々のために中本博皓(ひろつぐ)名誉会長をご紹介申し上げます。中本先生は1934年5月1日に台湾でお生まれになりました。東京農大大学院農学研究科の博士課程後期課程を修了されました。関東大学ラグビーフットボール連盟会長、大東文化大学の経済学部長や図書館長を歴任なさっておられました。私は、幸運にも大東文化大学環境創造学部でご一緒させていただきました。
主なご著書は、『キリンビール』明治書院、『現代日本製糖業の発展と分析』新生社、『現代の消費と消費者行動』税務経理協会、『グローバル化時代を迎えた日本経済と外国人労働者政策』税務経理協会などが有名です。
80年代からトンガ留学生と「トンガ文化研究会」を立ち上げ、1989年「多文化社会研究会 Global Awareness」発足時からの会長になっていただきました。経済学、環境学、移民政策のご指導をいただきました。その後、多文化研が32年間と持続可能な研究会になったのは、一重に中本先生の崇高なあたたかいご人格のお陰と感謝しております。
川村千鶴子
Emeritas Prof. Dr. Chizuko Kawamura