【多読味読<57>:万城目正雄「特別企画 新型コロナで変わるモノづくり」「コロナ禍で中小製造業における外国人材の 活用はどうなるか」『型技術9月号』2020年9月16日発行。日刊工業新聞社。1400円】

川村千鶴子
多文化研のみなさま
予想されたようにコロナウイルスの感染拡大は、日本の雇用情勢と雇用環境を一段と悪化させました。就業者数、雇用者数がともに2か月連続で減少し、完全失業者数の増加に加え、失業予備軍といわれるコロナに関連する解雇や雇止めは、2020年6月26日の集計では、28,173人(うち、製造業4,133人)になっています(厚生労働省)。
万城目先生は特別企画を寄稿しておられます。
「特別企画:新型コロナで変わるモノづくり」
「コロナ禍で中小製造業における外国人材の活用は どうなるか」
Q(Kawamura)!(^^):
『型技術』興味深く拝読いたしました。コロナ禍で変化する外国人労働者に対する政策的対応をどのように考えておられますか?特に出入国管理政策上の特例措置や技能実習生に対する支援などいかがでしょう?
A(Manjome)(^^):
コロナウイルスの感染拡大により、国境を越えた人の移動が制限されるようになりました。一部緩和される動きも見られますが、水際対策による上陸の拒否により、新規入国ができない状況が続いています。また、帰国したいのに母国に帰れないという帰国困難な状況も発生しています。帰国困難者には、特例措置により在留資格の変更し、就労継続が可能になっているほか、再就職先支援も行われています。
技能実習生にも日本人と同様、特別定額給付金(10万円)のほか、雇用維持のための雇用調整助成金も支給されています。また、生活の安定に対する支援として、求職中の技能実習生にも雇用保険の給付が行われています。
Q(Kawamura)(^^):そうですか。
ご公務が多忙を極める中、ヒヤリングを重ねておられるわけですが、実態はどうでしょうか?
A(Manjome)!(^^)!:
先日、求職中の技能実習生や関係者とお話ししました。政府による支援だけでなく、地域社会・ボランティアの方から野菜等を支援もいただいているとのことでした。
地域社会の励ましが技能実習生を勇気づけているという話を聞き、多文化研がキーワードとする多文化共創社会の可能性を感じさせられました。
Q(Kawamura)(^^♪:
地域が連携して協働・共創しているのですね。感染拡大が終息しても、世界的に急減した需要の回復には、さらなる時間を要するのではないでしょうか?
私は、雇止め対策や心のケアも必要だと思いますが、万城目さんはどのように分析しておられますか?
A(Manjome)(^_-)-☆:
コロナショックは、好調であった日本経済に陰りが見え始めてきた時期に追い打ちをかけるように発生したといっていいのでは
ないでしょうか。世界経済の減速傾向も加わり、日本経済の人手不足の状況は、コロナショック前から緩和される方向が示されていました。
例えば、2019年平均の有効求人倍率は、10年ぶりの減少でした。中小製造業の人手不足の状況について、中小企業庁・中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」の従業員過不足数DIの推移からみると、さらに興味深い状況が観察できます。
中小製造業における技能実習生の状況ですが、雇用調整助成金で技能実習生の雇用を維持しているという話も聞こえてきております。しかし、雇用や失業は遅行指標といわれています。これから更に悪化することが見込まれます。当面は、コロナに直面する技能実習生の雇用の維持や心のケアのための更なる支援が求めれると思います。
(Kawamura)(^^♪:
まさにそうですね。コロナ禍後の変容と新しい世界を見据え、じっくりと多面的に検討する視点が大切と思います。日刊工業新聞社のHPを拝見していると中小製造業の絶え間ない取り組みと「モノづくり日本」の未来が見えてきます。
『型技術』9月号をご紹介いたしました。
59頁の食べらる容器には感動しました。60頁のさまざまなデザインの「熱絞り紙容器」の写真も素敵です。
多文化研のみなさまも是非ご高覧くださいませ。
川村千鶴子拝