多読味読<56>:廣瀬明香・二見茜・冨田茂監修『薬局・ドラッグストアのためのコミュニケーションBOOK』

【多読味読<56>:廣瀬明香・二見茜・冨田茂監修『薬局・ドラッグストアのためのコミュニケーションBOOK』株じほう2020年7月】

https://www.books.or.jp/books/detail/2365132

多文化研のみなさま
          川村 千鶴子(ミャンマーレストラン・ルビーにて)

多言語多文化対応で有名な「高田馬場さくらクリニック」をご存知と思います。
是非ご覧ください。
→ HP: http://www.sakuraclinic.info/
数年前、チョウチョウソーさんのお店ルビーで偶然冨田茂院長(SHIGERU TOMITA MD, MPH, PhD)とお会いして以来、新宿区高田馬場4丁目の河上ビル3階を訪問し、素敵なインテリアと大勢の外国人スタッフが毎週勉強会をもって養成されていることに驚きました。ぜひ、整形外科が必要の時は、訪れてみてください。
その後、拙編著『いのちに国境はないー多文化「共創」の実践者たち』慶應義塾大学出版会で玉稿をご寄稿いただき、高田馬場さくらクリニックは多文化共創クリニックの先駆けとして有名です。

昨日、冨田先生からこの2020年7月に刊行されたばかりの廣瀬明香・二見茜・冨田茂監修『薬局・ドラッグストアのためのコミュニケーションBOOk』日本語・英語・中国語対応株じほう2020年7月】をご恵与いただきました。
https://www.books.or.jp/image/9784840752862/0/20200715123825

以下、<トーク・ショー>スタイルでご紹介いたしますね。

❖川村:「移住と健康」にお詳しい先生が、コロナ禍を乗り越えて、新しい本を刊行され、おめでとうございます。漢字にフリガナが振ってある本は珍しくありませんが、それだけでなく、英語や中国語にもフリガナがついていて、さらにすべてのページにカラーのイラストが入っている本は初めてみました。

❖冨田院長:そうなんです。じほう社より最近、新しい書籍を出版しました。アマゾンでも購入できます。
イラストは、ドラマ化された漫画「ナースあおい」の人気漫画家こしのりょう先生が担当です。見ているだけでも実に楽しい本になりました。

❖川村:健康は「幸せ」に直結する重要な要素だと思いますが、この本の主旨と目的は何ですか?

❖冨田院長:外国人住民の多くにとって、病院にかかるのは言葉や保険制度のハードルが高くのしかかります。ドラッグストアでセルフメディケーションで済ませてしまうことが現実として多くあります。
皆が医療機関にかかれる世の中にという理想はありますが、現実的な対応としてドラッグストアでの誤解や事故を防ぐための手助けとなることを、本書は期待しています。
医療者にも外国人にもポケットに入れて利用してほしいと思い、白衣も含めて、一般的なジャケットのポケットに入れておけるサイズにまとめました。

❖川村:さすがですね。活躍されてきた二見茜さんも監修者ですね。

❖冨田院長:それに、薬剤師の廣瀬明香さんが中心になって頑張りました。彼女が考えたツール → (https://www.sankei.com/life/news/171017/lif1710170016-n1.html )が元になっています。
廣瀬さんによると本書の特徴は以下の点ですね。

①探したい情報を見つけやすい📖巻頭にフローチャートをつけたり、より詳しい情報はコラムに飛べたりなど、該当ページが見つけやすいように工夫しました。情報も多くしすぎず、応用できるフレーズは、変える単語だけ選べば良いようにするなどして、なるべく簡略化しました。
②白衣に入るポケットサイズ🥼
持ち歩けてさっと取り出せるように、ポケットに入るコンパクトなサイズにしました。
③イラストやカラーで読みやすい🎨
漫画家の方にもご協力いただき、親しみやすいようなデザインにしました。
まずは、薬局やドラッグストア向けで、英語と中国語に対応できるように作りました。
言語に自信がなくても、この本をきっかけに、コミュニケーションの第一歩を踏んでいただけたら嬉しいです😌
海外の方がたくさん来日するであろう今年のオリンピック・パラリンピック前の発売を目指していましたが、オリパラは延期になってしまいましたね。
でも、そのときまでの準備期間ができたと思えば良いのです!

チョウチョウソー理事:続編としてミャンマー語やベトナム語、ネパール語、タイ語などのコミュニケーションBOOKができると有難いですね。期待しています。日本に在住する難民の人々も高齢化しており、最近も亡くなりました。葬儀には自治体からのご支援もいただいております。コロナの影響は大きいですが、みんなで助け合って暮らしています。

冨田院長:続編を出していくことが、今回の狙いでもあります。「健康」のベースは、まさに「教育」であるのです。

川村:外国語が話せなくとも必要な会話を指で差してコミュニケーションができる。それに日本の保険制度やお薬手帳の説明や「国によって異なるお薬事情。呼び名が違う?量が違う?」が分かる。基本的なことが多言語でわかる素晴らしい本ですね。日本社会は、外国にルーツを持つ人々との共創・協働がベースとなっています。

多文化共創の時代に、必読の本をご紹介しました。

川村千鶴子(ミャンマーレストラン・ルビーにて)