多読味読<49>:渡辺幸倫(わたなべ ゆきのり)編著『多文化社会の社会教育 公民館・図書館・博物館がつくる「安心の居場所」』

【多読味読<49>:渡辺幸倫(わたなべ ゆきのり)編著『多文化社会の社会教育 公民館・図書館・博物館がつくる「安心の居場所」』(明石書店、2019年3月)】

https://www.akashi.co.jp/smp/book/b451543.html

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自分の編著を紹介するのは少し照れる気もして、昨年の3月に発刊されたにもかかわらず、こちらへの投稿が今になってしまいました。

さて、下記の目次でご覧いただける通り、執筆者の大半が当会会員の本書では「多文化多民族化が加速する日本で、住民の自治という経験の積み上げがある社会教育はどのような役割を果たせるのか」を問いました。十分にその問いに答えることはできなかったのかもしれませんが、個人的には初めての編著ですべての作業が新鮮で学びの連続でした。内容はこんな感じです。

(はしがきより)
“博物館、図書館、公民館などの社会教育施設が、変化する住民構成に応じてその活動の内容を変えていくのは当然のことであろう。しかしそれぞれの地域の事情の中で、どのような形があり得るのかといった参考事例が不足していることは否めない。そこで、本書では、現在日本の多文化状況と今後の展望、そして社会教育の課題を概観したうえで、国内外の安心できる居場所の創出にかかわる先進的な博物館、図書館、公民館およびそれに相当する施設での取り組みを紹介していくことで、今後の社会教育の新たな可能性を提示する。”

序章[渡辺幸倫]

第Ⅰ部 日本の外国人集住地域の「安心の居場所」
第1章 協働・共創を支える「安心の居場所」――内発的社会統合政策を拓く[川村千鶴子]
第2章 地方都市部の社会教育ならびに施設における多文化共生活動――静岡県磐田市南御厨地区を事例として[金塚基]

第Ⅱ部 居場所としての公民館
第3章 多文化社会における公民館の役割 難民申請者と地域住民の交流――埼玉県川口市の住民の取り組みを事例に[土田千愛]
第4章 二つの法体系が支える韓国の地域学習施設――光州広域市における「教育」と「支援」の連携事例を中心に[呉世蓮]
第5章 成人移民へフィンランド語教育を提供する公共施設――地域社会とのかかわりと学習以外の機能にも着目して[大谷杏]

第Ⅲ部 本から広がる図書館の取り組み
第6章 日本の多文化都市における図書館の取り組み――「多文化サービス」のあゆみと「安心の居場所」であるための提言[阿部治子]
第7章 多民族国家シンガポールを支える図書館――国民統合と多民族共生[宮原志津子]
第8章 移民・難民のくらしに寄り添う公共図書館――デンマークにおける取り組みに着目して[和気尚美]

第Ⅳ部 見て聞いて触って学ぶ博物館の役割
第9章 学校と博物館の連携の可能性――先住民族について学ぶ「国立アイヌ民族博物館」設立を受けて[若園雄志郎]
第10章 文化の由来を知る――「順益台湾原住民博物館」が担う社会的包摂機能[郭潔蓉]
第11章 ニュージーランドにおける太平洋諸島移民の文化的学習――博物館を中心に[玉井昇]

あとがき