【多読味読<26>:芹澤健介著『コンビニ外国人』新潮新書、新潮社2018年5月224頁】
昨夜、広島県呉市で技能実習生のベトナム語の通訳をしている今年の卒業生、ヘリ―さんから「電車はまだ復旧していないけれど、コンビニが復活した!買い物もできて生活できる。」という喜びのメールが来ました。断水明けで水が濁っているそうですが、被災地では、24時間営業のコンビニが命綱であることを知らせてくれました。24時間営業のコンビニを支えているのが、外国人店員。4万人以上です。
今話題の芹澤健介著『コンビニ外国人』をご紹介します。
まず、添付の7月15日の書評(東京新聞)を読んでください。
そこに著者が日本社会に警鐘を鳴らしたいことが書かれてあります。
私は、毎年2回、統括防火管理者として、コンビニの外国人定員さんたちに、避難・消火・通報訓練などを指導しています。多言語パンフレットを配布してもう30年以上も。
だって火災や地震があったら、助けてもらうのは、日本人高齢者。
留学生や技能実習生、難民の方々が地域を守り、人命救助にあたることを身にしみています。お互い様の地域です。
助け合うのは当たり前。本当にいい本を世に送りだしてくださってありがとうございます。
これからも新しい本を次々に出されることを期待しております。
川村千鶴子
(以下は「BOOK」データベースより)
全国の大手コンビニで働く外国人店員はすでに4万人超。実にスタッフ20人に1人の割合だ。ある者は東大に通いながら、ある者は8人で共同生活をしながら―彼らはなぜ来日し、何を夢見るのか?「移民不可」にもかかわらず、世界第5位の「外国人労働者流入国」に日本がなったカラクリとは?日本語学校の危険な闇とは?丹念な取材で知られざる隣人たちの切ない現実と向き合った入魂のルポルタージュ。
【目次】
はじめに
第1章 彼らがそこで働く理由
「日本に来たかったから、がんばりました」/アルバイトは週に28時間まで/外国人留学生がコンビニで働く理由/100万人の外国人労働力に依存する日本/さらに増え続ける「在留外国人」/急増するベトナム人・ネパール人/ベトナムの日本語ブーム
第2章 留学生と移民と難民
5人に2人が外国人という状況/「その他」の在留外国人たち/政府の外国人受け入れ制度/「移民」とはどんな人たちか/日本の先を行く韓国の「雇用許可制度」/ドイツの「ガスト・アルバイター」
第3章 東大院生からカラオケ留学生まで
コンビニ奨学生として日本へ留学/八人で共同生活/沖縄で急増するネパール人/「辞めないでほしい」と毎月1万円/「日本に来てから成長しました」/沖縄とネパールの関係/留学生の間にはびこる人種差別/ミャンマー人留学生が集まる街/日本で働きたくても働けない
第4章 技能実習生の光と影
コンビニも技能実習制度の対象に?/技能実習生の労働環境/技能実習生の人権を守るために/留学生が実習生をトレーニングする?/沖縄ファミリーマートの「留学生インターンシップ」
第5章 日本語学校の闇
九割が留学生という大学/中国人専用の予備校に通う留学生/全国に600校以上 乱立する語学学校/年収100万円の日本語教師/教師一人で留学生100人という現場も/日本語学校の管理ははじまったばかり/日本語学校が留学生の書類を偽造/人材派遣業化する日本語学校/〝出稼ぎ留学生〟が訴えた日本語学校/日本を目指す外国人留学生のルート/「犯罪はよくないが……」地方の経営者の本音/ネパールの日本語教育事情/日本語学校のこれから
第6章 ジャパニーズ・ドリーム
ベトナム人の元留学生が兄弟で起業/外国人起業家に向けた「スタートアップビザ」/外食産業の風雲児はネパール人の元留学生 /犯罪組織に加担してしまう留学生/「またコンビニで働きたいよ」/風俗店で働く現役留学生たち/増加する不法残留者と難民申請者/「日本人ですけど、日本語を話せません」
第7章 町を支えるピンチヒッター
人口が減り続ける日本/そして労働力の奪い合いがはじまる/〝国際都市〟新宿の取り組み/多文化共生を推進する広島県・安芸高田市/日本初の公立日本語学校を開設した北海道・東川町/11カ国の外国人が暮らす「いちょう団地」/学生たちが自治に参加する「芝園団地」
おわりに――取材を終えて