多味多読<72> 橋本みゆき(編著)猿橋順子・髙正子・柳蓮淑(著)『二世に聴く在日コリアンの生活文化――継承の語り』

【多味多読<72> 橋本みゆき(編著)猿橋順子・髙正子・柳蓮淑(著)『二世に聴く在日コリアンの生活文化――継承の語り』社会評論社】

新刊『二世に聴く在日コリアンの生活文化――継承の語り」のご紹介

多文化研のみなさま

なかなか収束の見えないコロナ禍ではございますが、暖かな日差しに春の訪れを感じる季節となりました。
お変わりなくお過ごしでしょうか。
この度、私が共著者として加わらせていただきました学術書『二世に聴く在日コリアンの生活文化――継承の語り』が社会評論社より刊行されました。
簡単にご紹介させていただきます。

橋本みゆき(編著)猿橋順子・髙正子・柳蓮淑(著)
『二世に聴く在日コリアンの生活文化――継承の語り』社会評論社(定価 2,800円)

2014年から取り組んで参りました、11人の在日韓国・朝鮮人二世のライフストーリー・インタビューを元に、社会学者の橋本みゆきさん、文化人類学者の髙正子さん、ジェンダー研究がご専門の柳蓮淑さん、社会言語学を専門とする私(猿橋順子)が、それぞれの観点を持ち寄って執筆いたしました。
2020年度科学研究費補助金の研究成果公開促進費の助成を受けて刊行いたしましたが、第1部は一人ひとりの生活文化継承の語りを物語風にまとめてございます。生活文化の継承とは、料理、家事、育児、音楽、ことば、祖先祭祀をはじめ、
価値観や関係性、役割認識なども含めております。

一世の親から、二世の子へ。何が、どのように伝わったと受け取る側が認識しているのか。
いつそのことに思いを馳せるのか。認識は時間の経過と共に変わるのか。
これらの親から継承したモノ、コトの語りは、在日韓国・朝鮮人二世の語り手、一人ひとりの生に触れることになろうかと思います。加えて、生活文化の継承の語りは、移住者として暮らす人びとはもちろん、代々同じ土地で暮らしている人びとにとっても、どこか共感できる側面があったり、当たり前だと思っていたことが、実はそうではないといった気付きを呼び起こしたりする瞬間があるのではないかな、と期待しております。

ひとりでも多くの方に手に取っていただき、読後感などお聞かせ願えましたら、嬉しく思います。僭越とは存じつつ、拙著をご紹介させていただきました。

猿橋順子 (青山学院大学・国際政治経済学部・国際コミュニケーション学科・教授)