ようこそ、多文化研へ!

 「多様な学びのプラットフォーム」

(1)多文化研は80年代からGlobal Awareness(格差への気づき愛)と問題発見・解決ALを実践してきました。
「国とは?国境とはなに?」「国際法と国内法の関係」「非正規滞在」「共創経営」「一元的な管理」「社会統合」「太平洋の環境問題」など根源的かつ難解な課題に挑戦してきました。地域に根差す開発教育、異文化間教育、多文化教育、環境教育を蓄積し、統計データを読み解き100冊を超える書籍を出版しWebでも紹介してきました。トランスナショナルな地域社会から世界を読み解き、批判的・論理的思考力、価値創造力ある多くの専門家を輩出してきました。
(2) 格差と分断をいかに防ぐか
所得格差・学習歴格差、民族格差、健康格差、情報格差による社会の分断が深まる一方、他者への排外主義が声高に叫ばれています。多文化主義は絵空事に追いやられてしまいます。特定の民族の尊厳を傷つけるヘイトスピーチやゼノフォビア(外国人嫌い)も横行しました。「民族的差別撤廃法」など法規制も大事ですが、多文化研は、見えにくい偏見や差別の構造を可視化し、日本社会を問い直し、日本の出入国管理政策や難民政策を多面的に再考しています。

多文化研は、安心の居場所「安心の学び舎」を継続しています


(3)ライフサイクルの視座とオーラル・ヒストリーの聴取
オーラル・ヒストリーの聴取は、歴史に「生の声」を与えます。
多様な移動のナラティブを聴取し、移民の歴史や地域特性を知り、丹念に歴史的変遷を捉えることを心掛けています。
(4)多文化共創アクティブ・ラーニング
多文化共創アクティブ・ラーニングでは、メディア・リテラシー、制度の壁、医療の現場、労働と雇用制度、入管法と在留資格など国内だけでなく送出国の現状やグローバルの視点をもって、問題解決の道を拓く科学的考察力が求められています。多様性を活力にできるビジョンのある出入国在留管理政策と社会統合政策への道を拓くための多文化社会論や移民政策論の専門家が生まれました。
(5)多様な学びのプラットフォーム
多文化研には、居住中心主義を貫く自治体職員、企業経営者、報道関係者、市民団体、大学・日本語学校・専門学校の教員や学生など立場と専門性を異にする約170名の会員がいます。国籍も多様で18歳から87歳までが膝を交えて議論します。平和学、社会学、経済学、国際政治学、法学、文化人類学、経営学、言語学、教育学、心理学、日本文化学、物理学、機械工学、数学、通信情報工学、環境科学のほか、国際医療・看護学・ケア学などなど幅広い学際的視座から議論できるのが特色です。
(6) CBL(Community Based Learning)による地域貢献
留学生・技能実習生・特定技能外国人・難民の方々・障がい者の方々も単に支援される存在ではなく、自立し地域の構成員として貢献しています。PBL(プロジェクト型学習)に加え、地域との連携を重視するCBL(Community Based Learning)によって持続可能な多文化社会への貢献が可能となり、社会統合の道が拓かれます。市民として、義務と社会的責任を全うし共創・協働を実現しています。各種イベントや防災訓練、スピーチコンテスト、図書館、移民博物館、医療機関など公共施設への貢献を知るグッドプラクティスに照射することにより、多様性の潜在力を実証できます。

(7)ICT(インターネット)やクラウドの活用
ICTは情報コミュニケーション技術の頭文字です。情報がどのように流通し、どういう形で授受しているかも、多文化社会を研究するうえでの大きな要素です。動画、情報の共有、統計数値の分析、記録、写真、モデル化、白地図や図表の作成、カード付箋使用などStudy Skillsの向上が欠かせません。質問や考えをSNSで送信することもでき、画像共有ソフトを利用することで、遠隔地同士でのフォーラムの開催も可能になりました。近未来については、AIの分野への視野を広げると「共創」の概念も広がります。
(8) プレゼンテーションとディスカッション・タイム
「正解がない」こともあります。対話的能動性とコミュニケーション力を磨き、意見の対立や葛藤を恐れず、実践知を活かし、他者の発言から気づきを得て、共創的課題解決力を身につけてきました。いかにして格差の分断を防いでいくか、国籍重視を超えて、多様な人々の協働と連携が共創価値を生み出します。世界に広がる幸福の連鎖は、内発的社会統合のビジョンを萌芽させる可能性を感じつつ、一人ひとりの創造性と科学的考察力をあたたかく見守ってきました。
(9) 社会的ニーズの変遷にそうアクティブ・ラーニングの蓄積
ALは多文化社会の専門職を養成し、自治体や市民団体との連携はもとより、中小企業・農家・工場との交流と指導。外国人収容所の訪問、中小企業や自治体職員研修会、市民活動と教育機関で活躍しています。地域に密着した実践活動を展開し、長期的な視野をもって生活の質の向上に繋げています。
(10)多文化研リラックス、バーチャル句会や多文化研ウォ―ク
ニューヨーク、モスクワ、ロンドン、アムステルダム、バンコク、ミネソタ、厦門(中国)、ヤンゴン、ソウルなど海外在住の会員がいます。多様性を肯定的に受容し、活力にして生活の糧を得て共創社会に貢献する知恵や実践力は、体験と共感が必要です。多文化研リラックスでは、各地の様子やリテラシーの共有と多文化共創アクティブ・ラーニングが、想像力を逞しくするきっかけとなります。海外体験や日常的な気づきを多文化研リラックスに投稿できます。四季折々の俳句を投句しバーチャル句会を継続しています。イタリア、ネパール、ミャンマー、中国の会員も句会に参加しています。
(11)外国人労働者の増加と社会的ニーズの変遷を捉えて
2019年4月に改正入管法が施行され、法務省の外庁として出入国在留管理庁が設置されました。深刻な人手不足状況に対応し、一定の専門性・技能を有し、戦力となる外国人を受け入れる在留資格「特定技能」の運用も始まりました。「特定技能」によって、5年間に14分野あわせて最大34万5150人の外国人の受入れが予定されると言われています。受入れ分野別の内訳では、介護(60000人)、外食(53000人)、建設(40000人)、ビルクリーニング(37000人)、農業(36500人)、飲食料品製造(34000人)、宿泊(22000人)等。「特定技能1号」の取得には、技能試験と日本語試験に合格する必要があるとのこと。外国人技能実習制度による技能実習2号を修了した外国人は試験が免除となる。介護、外食、宿泊に関する技能試験が実施されています。多文化研は、彼らが架け橋となり、日本社会の多様性への理解が進み、送り出し国との良好な関係性を築いていくことに協力しています。労働環境、技能実習生のライフサイクルと意識変化、家族の民族文化・宗教・母語や子どもの就学状況にも光を当てています。中小企業の多文化共創企業研修にも着目しています。技能実習法も施行され、技能実習制度も改善され、介護の在留資格もできました。社会統合・多文化共創のビジョンも受入れの基本となる法整備などさらなるインフラ整備を進めています。

<人生100年の時代を迎えて>

在日外国人の高齢化はオールドカマーだけの話ではなく、国際人口移動の活発化に伴い、移住先で長期定住永住する人々も増加し、出身国以外の国で高齢期を迎える移民数は、先進国や開発途上国にかかわらず全世界的な現象となっています。在留外国人統計(2018年末)では、 在日外国人総数は約190か国・273万人、65歳以上の高齢者は約90か国・18万人であり、共に過去最高を更新しました。 65歳以上の在日外国人の圧倒的多数を占めるのは、「韓国」および「朝鮮」籍高齢者ですが、それに次ぐ「中国」籍高齢者も過去20年間で2倍に増加しており、その他の国籍(出身地)の高齢者人口も増加してきています。数年前まで外国人高齢者の80%以上を占めていた在日コリアンは、その実数自体は増えていても、相対的な構成比は低下してきています。在留期間に制限がない永住者・特別永住者数は100万人を越えており、今後一層、高齢社会の多様化・多国籍化・多文化化が進むと見込まれ取組が必要となっています。(李錦純2019)

*2015年末の統計より、「韓国・朝鮮」は「韓国」と「朝鮮」に区別してデータが公表されるようになったが、本稿では合算して算出している。

多文化共創社会(Co-Creation through Multicultural Synergy)
ぜひご一緒に新しい時代をきり拓いていきましょう。
留学生、難民、障がい者、高齢者、LGBT、一人親家庭、無国籍者、無戸籍者など、多様な人々との相互ケアを通して幸福度の高い社会を創造する社会を指しています。国と自治体、企業、教育機関、医療機関、市民セクターの主体的協働が「共創価値」を生み出すとき、新しい協働・共創の精神で「安心の居場所」を創造することができます。
多文化研は、大学教育の推進だけでなく、企業のグローバル教育、地方公共団体職員研修、医療機関など社会人教育の一助ともなり、外国人材と企業と地域が、Win-Win-Winの関係性を構築するための「学びのプラットフォーム」です。

(図1:学びのプラットフォームの今日的意義と社会的ニーズ 作成:川村2019)(国・中小企業経営者・自治体・住民・教育機関・医療機関との連携が欠かせない。)