トピック:研究会のご案内(7月23日)
前回の研究会では、武田里子さん(明星大学非常勤講師)、包 聯群さん(東京大学総合文化研究科 学術研究員)から東日本大震災と多文化社会の関連でお話しいただきました。その後もMLで感想や意見交換がされ、出席されなかった方々にも雰囲気が伝わったのではないでしょうか。
さて、次回の7月23日は2部構成です。前半に、映画『女と孤児と虎』の上映会と徐阿貴さんによる解説。後半に東日本大震災と多文化社会の関連で、台湾と韓国での報道のされ方を中心としたお話をそれぞれ鄭 任智(早稲田大学非常勤講師)、李 垀鉉(早稲田大学非常勤講師)にしていただきます。
皆さんのお越しをお待ちしております。
会場が東武練馬駅の大東文化会館ですのでご注意ください。
日時:2011年7月23日(土) 午後13時半~17時
場所:大東文化会館(東武東上線、東武練馬駅から徒歩3分)・ホール(1階)
(こちらの地図をご参照ください)
http://www2.daito.ac.jp/jp/uploads/profile/1213941001_DBkaikan_access.pdf
参加費:500円
スケジュール:
13:30~14:40 映画『女と孤児と虎』上映
14:40~15:10 徐さんの映画解説
休憩
15:30~17:00 研究会
前半:13:30~15:10
『女と孤児と虎』上映会( カイスン監督、クン共同制作者)
1950年代から今日まで、海外養子として韓国から欧米へと渡った子どもたちは、約20万人にのぼると言われます。映画『女と孤児と虎』は、若い韓国系ディアスポラ女性たちの語りを通して、海外養子の背景に横たわる沈黙を、フェミニストの視座から暴いた作品です。
日本の植民地時代に「慰安婦」とされた女たち、朝鮮戦争以後、米軍基地周辺でセックスワーカーとして働いた女たち。そして、海外養子として西洋へ送り出された女たち。 3世代にわたる女たちの物語を、多様で多面的な語りという実験的手法を通じて示しながら、強いられた 沈黙がもたらす歴史的トラウマが、どのように世代間で受け継がれてきたのかが、明らかにされていきます。
映画ブログ http://womanorphantiger.blog55.fc2.com/
コメンテーター: 徐阿貴
(お茶の水女子大学ジェンダー研究センター 研究機関研究員)
後半:15:30~17:00
報告内容:(企画担当 李より)
今回は6月研究会で取り上げた東日本大震災について多文化社会研究の視点から考える第二弾となります。前回は武田さん、包さんの報告による情報提供や、多くの皆さまからの貴重なご意見とディスカッションがありました。これを踏まえ、今回は、東アジアにおける原発の動向と報道を整理してみるということで、日本における在住外国人の思いと地域の中での多文化共生への課題を考えていきたいと思います。
台湾の報告をお引き受けいただいた鄭任智(テイ・ニンチ)さんは、台湾高雄出身で早稲田大学で博士号を取得後、現在早稲田大学、未来大学などで非常勤講師されている方です。
報告1.台湾から見た東日本大震災
鄭 任智(早稲田大学非常勤講師)
大地震が発生した3月11日、報告者は東京都の自宅にいたが、その3日後にオーストラリアに行き、10日後は台湾に戻ったという経緯で、三か国での大震災に対する報道を目にしたのでそれぞれについて報告します。台湾からの視点に関する報告がメインになります。日本と同じ地震大国で、面積は九州ほどと小さいが、原発は3か所もあります(第4原発は建設中)。今回の東日本大震災とその後の放射性物質クライシスは、台湾に大きな衝撃とともに発電政策への反省ももたらしています。こうした関連事象を新聞紙の報道を踏まえて台湾の独特な国際的事情を交りながら報告させていただきたいと思います。
報告2.韓国から見た東日本大震災と在日韓国人の動向
李 垀鉉(早稲田大学 教育総合科学学術院 非常勤講師)
東日本大震災による大きな傷跡が残ったまま、はや3カ月が経った今、近隣外国であり日本と密接な関係をもつ韓国国内での動向(原発を含め)を報告し、その動向から見えてくるこれからの課題を議論していきたい。
そして、日本国内における多くの在日韓国人の働きかけ(日韓友好チャリティ、韓人教会を中心としたボランティアなど)から見えてくる「共に生きることの温かさ」と、その一方で、震災後に見せる外国人への偏見による心細さと子育て不安との奮闘の様相などを紹介し、今後の多文化共生への新たな課題を議論していきたいと思います。