多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 91号

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  Society for Multicultural Community Studies /Global Awareness 
2008年10月4日
  『 多文 化 社 会 研 究 会 ニ ュ - ズ レ タ - 91号』
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トピック:研究会のご案内(10月18日)

 すがすがしい秋晴れの日が続きますがいかがお過ごしですか。

 前回の研究会(9/27)では、高本香織さんの異文化適応とアイデンティティについてのお話をお聞きしました。アメリカでの留学生の異文化適応を、自他の境界線が複雑に変化していく経験としてとらえた発表は、異文化での生活経験の豊富な本会の会員の心にも落ちるものだったのではないでしょうか。また、後半には中本博皓(大東文化大学名誉教授)に経済学や人口論の基礎理論を噛み砕いてお話いただきました。日本の移民政策を考える出発点ともなる議論であり、それぞれの分野への示唆に富んだものとなりました。

 さて、次回の研究会は、10月18日土曜日に開催します。

前半の共通テーマとして在日インド人を掲げ、明石純一さん(筑波大学)から「インド人ITワーカーの越境、その実態と背景」について、そして大谷杏さん(早稲田大学大学院)から「インド系国際学校-在日インド人・子どもたちの教育の一選択肢として-」と題した研究発表をお聞きする予定です。

 後半には、10月15日に行われた外国人集住都市会議について、川村千鶴子さん(大東文化大学)からご報告いただきます。

<研究会のご案内>

日時:2008年10月18日 午後2時~5時
場所:大東文化大学信濃町校舎法科大学院3階(第3会議室)
参加費:500円、会員は無料

1. 研究発表:在日インド人

題目:インド人ITワーカーの越境、その実態と背景

発表者:明石純一(筑波大学)

概要:

全世界に2500万人を数えるというインド系移民の存在は、彼らの母国、そして祖国にとって、無視できない存在である。もちろん、世界中に散らばるインド人コミュニティを構成する人々を、ひとくくりにすることはできない。宗教や言語的な多様性はもとより、彼らが就労する分野やその形態にも目に見える違いがある。現代のインド人越境者たちに限定したとしても、中東・湾岸諸国において契約制のもとで働く建設労働者から、欧米先進諸国の医療、金融・投資セクターに従事する高学歴で高収入のホワイトカラーなど、彼らの経済的境遇や社会的地位も一様ではない。

 そのなかで、独特の地位を占めていると考えられるのが、情報通信技術(IT)関連分野において海外、とりわけ先進国で働くインド人である。彼らは、インドがIT立国としてその経済的なプレゼンスを拡大するとりわけ1990年代より、脚光を浴び始めた。インドからの出移民の長い歴史を振り返るならば、インド人ITワーカーはあくまでも新参者であり、インディアン・ディアスポラにおける「マイノリティ」ではあるが、IT市場の拡大をともない企業活動がいっそうグローバル化する現代において、欠かすことができない大役を担っている。そこで本報告では、ITワーカーを中心とするインド人知識労働者(knowledge workers)の越境を取り上げ、彼らを取り巻く経済社会環境の変化や政
策動向とともに、その概観を示してみたい。

題目:インド系国際学校-在日インド人・子どもたちの教育の一選択肢として-

発表者:大谷杏(早稲田大学教育学研究科博士課程)

概要:

近年、IT業界の急速な発展と入国時の規制緩和により、多くのインド人たちが技術者として来日し、日本企業で働くようになった。彼らは帰国を前提としているため、共に来日した子どもたちがインド国内のカリキュラムに沿った勉強を続けることができるよう望んでいる。そのような要望に応えるべく、東京に2校のインド系国際学校が誕生した。本発表では、それらのうちの1校を例に挙げ、多文化社会であるインド文化継承拠点としての役割、国際学校としての要素、日本社会とのかかわりの3点に焦点を当て、報告したい。

2.外国人集住都市会議(東京・2008年10月15日)の経緯・結果・感想

報告:川村千鶴子

概要:

地方自治体のイニシアチブによって開催されてきた外国人集住都市会議が、今年は、東京で開かれる。当日は坂井美濃加茂市多文化共生室長からの報告や井口 泰先生(関西学院大学教授)がコーディネートするパネル・デイスカッションも予定されている。井口先生によれば、論点として以下のことが挙げられています。

   1)自治体独自の外国人政策の役割及びその限界

 2)地域の実態及び提言を国の政策に反映させる方法

   3)自治体の求める外国人政策の改革と関係省庁の対応の現状

     ①外国人住民台帳制度の創設問題

     ②外国人の社会保険加入の徹底

     ③外国人の子どもたちに対する教育の改善

     ④日本語能力標準の設定と外国人の日本語学習機会の保障

     ⑤地域防災及び感染症予防と外国人住民の参加

   4)地域における企業の法令順守と社会的責任の実現ほか多文化共生に関する諸問題

   5)超党派による移民・外国人政策の形成と自治体の役割などが

以上

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